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「突き抜けた目標」を持つからこそ見える境地 世界が注目する「内視鏡AI」創業者の行動哲学

東洋経済オンライン / 2024年5月22日 10時0分

内視鏡検査の技術は発達し、今や、1㎝までの大腸ポリープであれば、日帰りで、かつ合併症ほぼゼロで切除する内視鏡手術が可能になっています。

撮影画像も、ハイビジョン、フルハイビジョン、2K、4K……と高画質化し、きれいになってきました。とはいえ、診断するのは医師です。いかに画像がきれいでも、最後は医師の画像診断能力に完全に依存しているという現実に、問題意識を持ち続けていました。

そんな2016年のある日、私は東京大学の松尾豊教授のAIについての講演を聞く機会に恵まれます。「AIの画像認識能力が、ディープラーニング(深層学習)という技術により人間の能力を超えた」。そう聞いて、激しい衝撃を受けました。

内視鏡検査はまさに画像認識そのものですから、これにAIを組み合わせたら、医療が間違いなく発展するだろう――そう確信しました。


「内視鏡画像×AI」というアイデアは、誰でも思いつくことです。

しかし、調べてみると、医療分野でディープラーニングを用いたAIの活用例はまだ2つしかありませんでした。

眼底画像解析と、皮膚がんの画像解析だけです。内視鏡画像に対する研究開発は、世界中どこを探しても報告されていなかったのです。

世界初「ピロリ菌鑑別AI」「胃がん検出AI」に成功

早速、内視鏡AIの研究開発をスタートさせた私たちは、2017年、胃がんの原因とされているピロリ菌の感染有無を鑑別するAIの研究開発に世界で初めて成功。世界への名乗りを上げました。

続く2018年1月には、胃がんを検出する内視鏡AIの研究開発にこれまた世界で初めて成功し、世界の内視鏡医に一気に知られるようになりました。5㎜以上のがんを見つける感度(がんである人をがんだと正しく判定する精度)が98.6%という高い割合だったことも、人々を驚かせました。

この成果を研究開発のみで終わらせるのではなく、実際にがんの早期発見を支援し、救うことができる命を救うところまで進めたい――そのためには、継続して研究開発を続けることができる場所と環境を準備する必要が出てきました。つまり、研究開発するスタッフを集めて会社を設立する、ということです。

クリニックを長く経営してきたとはいえ、スタートアップに関する経験・知識はいっさいありませんでしたが、起業家育成プログラムでスタートアップのノウハウを徹底的に学んだ私は、2017年、埼玉県でAIメディカルサービスを立ち上げます。

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