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Z世代の「不安型離職」は本当に増えているのか 「不満はないが不安」で若者が辞める会社の結末

東洋経済オンライン / 2024年5月22日 7時40分

またリクルートワークス研究所が行った調査において、職場に対する量的な不満(仕事が多い)、質的な不満(仕事が難しい)、関係的な不満(人間関係が悪い)のいずれもが、この20年で改善されていた。特に量的負荷の代表である労働時間は、ざっと月に5.2時間減少していた。これは残業時間の減少量にほぼ等しい。

つまり、この20年で職場は良くなっている。不満は確実に減少しているのだ。SNSやメディアに浸かっていたら、なんだか日本は悪くなり続けてるような感覚に陥ることもある。良くなっていることを探して認めるのは大事なことだ。

が、しかし。ある指標については、悪化傾向がみられる。「職場への不安」である。

職場に対して不満はないけど不安を感じ、会社を辞める。リクルートワークス研究所の古屋星斗氏は、この現象を著書などで「不安型離職」と表現する。

そして実はこの不安型離職は、職場が「良くなった」ことが一因でもあるという。

典型例を考えよう。イマドキの職場は優しい。叱らない。遅刻してもミスしても、そうかそうか、と言って上司は許してくれる。しかし、そこで若手社員は考える。こんな「ゆるい」職場じゃ、自分は成長できない。もっと成長できる場がほしい。

だって、こんな職場じゃ、「ヨソ(他社、他部署)では通用しない」。ゆるい職場環境ゆえに成長への不安が喚起され、ヨソで通用しないと考えるようになる。これを「ヨソ通」問題と呼ぼう。

本当に不安型離職が起きているのであれば、会社にとってはなかなか難題である。イマドキの若者は叱ったら萎縮してやる気をなくすよ、って聞いていたから叱らないように気をつけていたのに、叱らないなら叱らないで、ヨソ通問題で不安を感じてしまうというのだ。どうすりゃええねん、という話である。

不安型離職は「増えている」のか?

不安からくるヨソ通問題に真正面から答える前に、2つほど考えておきたいことがある。まず、この記事内でも誤読が起きかねないのは、不安型離職なるものが起きているとして、それが「増えているのか」という点である。

ここでクイズを出したい。大卒の早期離職率(新卒入社後3年以内に離職する割合)、をご存じだろうか。要は、大卒の新入社員が3年以内に辞める割合、である。答えは「ほぼ3割」だ。ちなみに高卒はもうちょっと高くて、4割前後くらい。

では次の問題。早期離職率は、10~20年の間にどう変化しているだろうか。雇用の流動性の高まりとか、不安型離職といった情報を加味すると、「増えている」と思う人が多いのではないだろうか。

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