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Z世代の「不安型離職」は本当に増えているのか 「不満はないが不安」で若者が辞める会社の結末

東洋経済オンライン / 2024年5月22日 7時40分

答えは「変わっていない」だ。厚生労働省によると、昭和62年からのざっと30年間で、最小で23.7%、最大で36.6%。「1.5倍」みたいな言い方はできるものの、まあ、ほぼ変わっていない。特筆すべきは、2010年から2020年の11年間は、31.0%から32.8%と、抜群の安定感で推移している。

「コロナ禍元年」の2020年も32.3%で、まだ2年ぶんしかデータのない2021年は2年目までで24.5%。単純計算すると3年目で36.8%くらいなのでここ10年にない高さではあるものの、まあ、たいして変わっていない。コロナ禍並の社会危機をもってしても、そこまで変化がない不思議な指標である。

で、だとすると、Z世代の「不安型離職」は増えているのだろうか。

たとえば大企業(1000人以上の企業)の離職率が微増している、といったデータもある。大企業はやはり安定感があるのか、早期離職率は全体と比べて5~10ポイント程度低く、ただ徐々に離職率が高まっている。職場環境が良くなっているのに早期離職率はほぼ変わっていなくて、大企業でも微増している、というのがデータ上は正確であろうけども、正直、現状はそこまで大きな変化はないのである。

何が言いたいのかというと、不安型離職なるものが世に出現したとしても、別に「急増」しているわけではない。将来もっと増えていくかもという予想は可能だが、早期離職率は30年間ほぼ不変の指標だ。これは本当に、対策が急がれることなのだろうか。

現代では、会社を惑わせるビジネスが跋扈している。「不安型離職が急増しています、あなたのとこも対策しないとヤバいですよ」とささやく人々が、今後確実に、たぶん離職者よりも高い割合で、増えていくだろう。

もちろん起きる前に対応するアジリティは必要だ。でもそれが経営の難しいところで、ときにはやらない勇気も求められる。

みんなちょっとはやっぱり不安なんだな

もう1つ気をつけたいのは、仮にZ世代の不安型離職が増えているのだとして、「非」Z世代の「オトナ」は、何をすべきなのかということだ。

不安型離職という概念が提起され、世に広まり、対策が叫ばれる。うちの会社でも話題になっている。経営陣は、部下の中間管理職に厳命する。

「不安型離職というのが流行っているらしい。若手社員は不安を感じている。対策を頼んだぞ」

さて、中間管理職は、何をすべきだろうか。

話変わって、昔、大学スポーツのコーチをしている人が、声を震わせて吐露するのを聞いたことがある。

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