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「Google検索使いこなす子供」に潜む"大きな問題" 検索で出た答えは正しい?若者に必要な視点

東洋経済オンライン / 2024年5月22日 17時0分

SNSツールが身近にある子どもたち。学校の先生が危惧することとは(写真: takeuchi masato / PIXTA)

タイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」を意識する若者が増える中で、本当にそれでいいのだろうか?と危惧する大人たちの声も多く聞かれます。『思考実験入門 世界五分前仮説からギュゲスの指輪まで』を上梓した、かえつ有明高等学校の社会科教師である前田圭介氏が、今を生きる若者たちに必要な考え方について、お話しします。

教員をやっていると、こんなことを聞かれることがあります。

【写真】『思考実験入門 世界五分前仮説からギュゲスの指輪まで 』(前田 圭介 ・東大カルぺ・ディエム著)では、哲学者たちの思考実験を精選し、その意図や現代的意義を解説。

「今の学生と、昔の学生、どんな違いがあるの?」と。

小さいときからスマートフォンに触れて、学校でもタブレットを使った授業を行うのが当たり前になった令和の時代の生徒たち。昔では考えられないほど便利で、情報へのアクセスも簡単になっています。

そんな時代を生きる彼ら・彼女たちは、昔の高校生と比べて、どのような違いがあるのか。私は教員として働きながら、このことについて考察してきました。今回は私が感じた生徒の変化を、皆さんにお話ししたいと思います。

先生でも追いつけないほどの情報収集能力

まず、今の高校生の「情報収集能力」は、昔に比べて非常に高いと思っています。Google検索を使って、情報にアクセス。わからないことが出てきたら、ChatGPTを使えば、答えを教えてくれる。こうしたツールを駆使する能力は非常に高く、「先生である自分でも、追いつけない」と思うほどです。

そして、先生が出した課題に対して、さまざまなツールを駆使して答えを導く生徒というのは少なくありません。

「ChatGPTを使って宿題を解く生徒が多い」というニュースがネガティブな文脈で報じられることもありますが、「自分のできる範囲で工夫して問題に答えようとしている」とも解釈できるため、個人的な見解としては、それ自体は悪いことではないと思っています。

しかし、大きな問題だと思うのは「粘り強く考えること」が苦手になっている、という点です。

1つの問題に対して向き合う時間が少なく、あまり自分で考えずに答えを出した気になってしまう生徒の数が、大きく増えているのです。

私は、授業内での調べ学習において、Google検索もChatGPTも使用可としています。そうすると、多くの生徒が、調べて検索結果の一番上に出てきた最初の答えを書き写して(あるいはコピペして)、それで終わりにしてしまいます。聞かれている問いと少しずれていたとしても、「ネットにはこう書いてあった」という理由で、それを答えにしてしまうのです。

ネットで調べて不完全な答えを出す子どもたち

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