「自分は有能」と勘違いする残念な人に欠けた視点 「因数分解」は物事を多角的に考えるための技術
東洋経済オンライン / 2024年5月23日 9時0分
一方、Bさんは会社のブランド力という存在を認識できており、自分自身のスキルとしては平均的であると思っています。こちらを同じように表現するとこうなります。
(成果を決めるもの)=(会社のブランド)×(自分のスキル)
成果を100だとして、その100という数字は会社のブランドが10、自分のスキルが10、そのタッグによって生み出された100だという認識です。
あらためてAさんとBさんを比較したとき、ふたりの違いは数学的には上記の数式の違いと説明できます。その違いは「謙虚さ」の有無ではありません。物事を因数分解する能力の有無です。
そして、このように比較をすることで、「勘違い」とは、自分のスキルが10しかない人が、自らのスキルは100に相当すると思ってしまうことだと説明ができます。いかに愚かなことであるかがわかりますし、独立しても失敗することは必然と言えるでしょう。
私はこれまで2万人を超えるビジネスパーソンやトップアスリートたちとお会いし、このような数学的なスキルの指導を行ってきました。
実は彼らのほとんどは、「因数分解」という概念をなんとなくでも知っています。かつて数学の授業で勉強したこと。物事を要素分解すること。問題解決に必要なこと。表現こそ違いますが、彼らが認識しているものに大きな差はありません。
しかし、因数分解の知識を実際のビジネスに応用できているかというと、ほとんどの人ができていません。
「知っている」から「実際にできる」までを橋渡しすることが私のような教育者の仕事です。どうすれば「実際にできる」まで導けるか、徹底的に研究してきました。
この記事の読者の中にもまさにそこに課題を感じている方もいるかもしれません。そこで私の研究で生まれた、誰でもすぐにできるコツをひとつご紹介します。
そのコツとは、「2つの掛け算」に分解することです。こうして表記すれば「そんな簡単なこと?」と思われるかもしれません。しかしこの動作がパワフルな理由があります。
まずは「2つに分ける」ことから始める
因数分解とは、文字通り分解することです。ここで重要になるのは次の問いです。
Q 分解することの最小単位は?
答えは「2」です。「1つに分ける」という概念は存在しません(少なくとも私はそう考える立場です)。よって分けるという動作の最小は「2つに分ける」です。
「2」をつくれない人が「3」や「4」はつくれません。いきなり「3」や「4」を目指すから、難しくなるのです。まずは「2」をつくってから、さらに必要であれば「3」や「4」を目指せばいいのです。
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