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厳戒態勢で発表された「新型フェラーリ」の啓示 車名をズバリ「12チリンドリ=12気筒」とした訳

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 12時30分

スペック上の特徴は、ホイールベースを812スーパーファストより20mm短くしたこと。目的は「回頭性を向上させコーナリングスピードを上げるため」だと、発表会場でエンジニアリングのトップであるジャンマリア・フルゼンツィ氏は説明した。

さらに、12チリンドリには、左右の後輪が別々の角度で動く後輪操舵システムも搭載。「バーチャル・ショートホイールベース」を採用した812スーパーファストの場合は同じ角度で操舵されるので、これは同様のシステムを採用した812コンペティツィオーネゆずりといえる。

「たとえば、コーナリング時は外側のタイヤを積極的に操舵します。すると、ホイールベースが(812スーパーファストより)50mm短くなったのと、同じ効果が得られるのです。一方、高速走行時は、ロングホイールベースと同様の安定性が得られます」

フルゼンツィ氏による説明だ。もうひとつユニークなのは、リアスポイラーのデザインである。

「機能とフォルムの折り合いをつけるのが、開発チームのもっとも大事な仕事です」とフルゼンツィ氏は前置きしたうえで、12チリンドリの電動リアスポイラーは、左右に分かれたセパレート型であることを紹介する。

「一体型のスポイラーにすると、リアウインドウの意匠を損なってしまううえ、荷室へのアクセスが制限されてしまいます。そこで左右に振り分けました。動きは同時です」

ここで出てきた「リアウインドウの意匠」とは、「デルタ翼」とマンツォーニ氏が表現するもの。デルタ翼とは、「コンコルド」や「サーブ37ビゲン」など、1960年代後半から1970年代にかけての航空機の翼形状のことだ。

「クーペのコクピットに超音速機のイメージを与えようと考えて、デルタ翼を参考に造型しました。同時に、ガラスでこのリアウインドウの形状を作ることで、ドラマチックな印象を作りたかったのです」

さらにマンツォーニ氏は、「フライングブリッジ」について語る。

「フライングブリッジと名付けた、ルーフまで回り込むようなリアクオーターパネルは、ダイナミックな造型にしました。(812スーパーファストより)サイズがコンパクトなので、それをおぎなうのも、デザイナーの仕事だと考えたのです」

マンツォーニ氏は、クーペのデルタ翼型リアウインドウの意匠をとても気に入っているようだ。では、これから出るモデルにもこのデザインテーマが反映されるのだろうか。

「いえ。私たちはデジャビュ(既視感)が好きではないのです。一度試したら、次はもうやらない。それがフェラーリのデザインです。フライングブリッジという意匠は、以前のモデルにもありますが、解釈がまったく違います」

「12気筒」と名付けた真意

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