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厳戒態勢で発表された「新型フェラーリ」の啓示 車名をズバリ「12チリンドリ=12気筒」とした訳

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 12時30分

では12気筒のエンジンはどうだろう。「これが最後の12気筒モデルになるのでは」というメディアもあり、実際に会場では「このモデルがスワンソングか」なる質問も飛びだした。スワンソングとは「最後の作品」という意味で使われる英語の表現だ。

「フェラーリでは、将来のモデルについて語らないことになっています」。マーケティング担当重役のエンリコ・ガリエラ氏は、そう答えた。

「でも、私たちが投資家向けのキャピタルマーケットデイで説明したのは、私たちはこの先も、内燃機関、ターボ技術、ハイブリッド技術、電気、あらゆる技術に投資を続けていくということでした。世界を見ると、状況や規制にフレキシブルに対応していくのが重要ですから」

車名をずばり12気筒(チリンドリ)にしたことに対して、「ここで打ち止め、という記念的な意味が込められているのだと思ったが」という質問もあったが、ガリエラ氏は「むしろ逆」だという。

「今の12気筒エンジンは、ユーロ6eの規制をクリアしています。そのため、2026年までは今のままで作り続けることができます。その先について、この場で言うことはできませんが、さまざまな規制から12気筒エンジンの継続生産をあきらめるメーカーが多い中、私たちはそれを作りつづける技術を持っています」

フェラーリの伝統はこれからも守られる

フェラーリは、1947年に送り出した「125S」なるモデル以来、連綿と12気筒エンジンを作ってきた。もちろん、今は量産モデルに6気筒もあればプラグインハイブリッドもあり……と、パワートレインの多様化が進んでいるのは事実だ。

しかし、12気筒は12気筒。上記のような事実もあり、フェラーリにとっては特別なエンジンであり続けている。

「市場からの『12気筒モデルをなくさないでほしい』という声も大きく、私たちはむしろ今、12気筒の可能性をさらに追求しています。12チリンドリという車名は、私たちの12気筒への愛を再確認するためのものなのです」

CO2規制をはじめ、パワートレインにまつわる規制がどんどん厳しくなる中でも、「12気筒エンジンでサーキットも速く走れるクルマ」というフェラーリの伝統は守っていくのだ。

技術者やデザイナーが、その仕事を楽しんでいるのか、それともたいへんな困難を乗り越えながらやっているのか、そこは私にはわからないけれど、市場が歓迎していることは間違いない。

12チリンドリのクーペ39万5000ユーロ(VAT税込み・1ユーロ=約168円で約6600万円)、スパイダー43万5000ユーロ(同約7325万円)という価格だって、市場に歓迎されていなければ、実現できなかっただろう。

【写真】クーペとスパイダー「12チリンドリ」の内外装(80枚以上)

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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