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西鉄貝塚線「都会のレトロ電車」600形の半世紀 開業100年の福岡郊外路線を走る黄色い2両編成

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 6時30分

西鉄貝塚線の顔として活躍する600形(記者撮影)

「にしてつ」の名で親しまれ、日本最大級のバス事業者としても知られる九州の大手私鉄が西日本鉄道だ。

【写真50枚以上】西鉄貝塚線の600形は丸みのある正面デザインが昭和の電車らしさを感じさせる。通常は見られないレアな「三苫」の行き先表示も

主力の路線は九州一の繁華街、福岡市の天神に位置するターミナル駅の西鉄福岡(天神)を起点に福岡県内を南下し、炭鉱で栄えた街・大牟田に至る全長約74.8kmの天神大牟田線だが、同線を含むほかの西鉄各線とは接続していない小さな路線がある。福岡市東部の貝塚駅から、玄界灘にほど近い西鉄新宮駅までを結ぶ貝塚線だ。

開業は天神大牟田線より約1カ月遅れの1924年5月23日で、2024年で100周年。2007年に西鉄新宮から先、津屋崎までの約9.9kmが廃止され、路線名もそれまでの「宮地岳線」から現在の貝塚線に変わったものの、1世紀にわたって福岡郊外の足を担い続けてきた。

「都会のレトロ電車」600形

「都会のレトロ電車、という感じでしょうか」。貝塚線の運転関係を担う貝塚電車営業所長の高本敬介さんは、同線をこう表現する。

貝塚線は全長約11km、駅数は10駅で全線が単線。走る電車はすべて2両編成で、終点まで乗り通しても約20分の短い路線だ。

のんびりしたムードも漂う一方、沿線は都市化が進み車窓風景は住宅地がほぼ切れ目なく続く。西鉄の他路線とは接点がないが、貝塚駅では福岡市地下鉄箱崎線と接続し、乗り換えれば都心部の天神までは約12分。近年は全国的にも混雑率の高い路線として知られ、朝夕のラッシュ時だけでなく日中も利用者数が多い。

【写真】西鉄貝塚線の600形は丸みのある正面デザインが昭和の電車らしさを感じさせる。通常は見られないレアな「三苫」の行き先表示も(50枚以上)

そんな同線の輸送を担うのは、丸っこいスタイルの黄色い電車「600形」だ。

もともと大牟田線(現・天神大牟田線)の車両として1962年に初登場した片側3ドア・ロングシートの通勤電車で、計57両が造られた。1962年といえば、プロ野球の「西鉄ライオンズ」(現・埼玉西武ライオンズ)が福岡を沸かせていたころだ。

600形は大牟田線の主力車両として活躍を続けた後、1990~1991年度にまず11両が宮地岳線(現・貝塚線)に転籍。その後も旧型車両を置き換えるために転籍が進み、2015年1月に最後まで残った旧型車の引退によって貝塚線の車両は600形に統一された。天神大牟田線からはすでに引退しており、現在600形が走るのは貝塚線だけだ。

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