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実はトレンド把握に使える「微分」簡単理解のコツ 東大生が解説、さまざまなところで活用されている

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 10時0分

トレンドを考えるうえで大事になるのは「変化量」です。先ほど例に挙げたポストの中に含まれるワードについて、「前日からの変化量」で考えてみましょう。

例えば、2024年5月21日の総ポスト数と、5月22日の総ポスト数が10億で、「天気」「グルメ」「野球」のワードが含まれていたポスト数が、以下のとおりだったとします。

●2024年5月21日

天気:100万、グルメ:50万、野球:10万

●2024年5月22日

天気:98万、グルメ:52万、野球:20万

この場合、ポストされた数だけで考えれば、トレンドの一番上に入るのは「天気」です。しかし、前日からの変化量で考えれば、天気は「2%減」、グルメは「4%増」なのに対し、野球は「100%増」、つまり2倍になっています。このように考えると、明らかに5月22日に流行しているポストは「野球」に関連するものであることがわかるでしょう。

この「変化量」を、さらに細かく分解して考えると、より「今」の流行を敏感に捉えることができるようになります。

先ほどの例では「前日比」で考えましたが、「前の1時間との比較」「前の10分との比較」というふうにより時間間隔を短くしていくのです。1日(24時間)で10万のポスト数、という数値は同じだったとしても、分解してみるとまったく違う分布をしている場合もあります。18~20時の2時間で9万5000ポストを占めていた、なんてこともありうるわけです。

このように考えると、時間を細かくすればするほど、「流行」の正確性は高まる、ということがわかります。この「分解」の営みは、まさに高校数学で習う「微分」の考え方なのです。

微分とは、数学の分野で用いられる概念で、ある関数の瞬間的な変化率や勾配を調べるためのものです。具体的には、関数のグラフ上のある1点における接線の傾きを求めることが微分です。これによって、その点での関数の増加や減少の速さがわかります。数学以外にも、物理学、工学、経済学など多岐にわたる分野で応用されています。

体温計にも使われている微分

このように、「トレンド」と「微分」には親和性があります。「瞬間の変化」を捉えることが、まさに流行を理解することになるのです。

この微分は、実は日常生活のさまざまな場所で活用されています。その1つの例が、「体温計」です。みなさんは、具合が悪くて病院に行ったときや、体の火照りを感じたときなど、日常生活において定期的に「体温」を測ることがあるでしょう。特に近年では新型コロナウイルスの流行によって、体温を測る機会も増えました。

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