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任天堂の岩田社長が「WiiのCM」でNOを告げた相手 「これはアメリカで成功します」私は断言した

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 8時30分

WiiのCMのインパクトは絶大だった(撮影:風間仁一郎)

ハイチ系移民の子というハンディキャップを跳ね返し、アメリカ任天堂社長となり、ゲーム業界の歴史において最も強力な人物の1人となったレジー・フィサメィ氏。

5月22日、彼の35年間の人生とビジネス哲学を描いた『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』が発売した。今回は本書より、WiiのCMを巡る故岩田聡氏との攻防を一部抜粋のうえ、再構成してお届けする。

互いへの信頼と率直な意見

岩田氏と私との友情は深く、その根底にあるのは互いへの尊敬の念だった。私たちはそれぞれが会社で発揮した手腕を称え合った。

【写真】アメリカ任天堂元社長による奮闘ストーリーとビジネス哲学が凝縮のノンフィクション

岩田氏は優れたゲームデベロッパーで、プログラマーだ。「ポケットモンスター」「星のカービィ」「大乱闘スマッシュブラザーズ」など任天堂史上最高のシリーズの多くを、1人の力でもたらした。

対する私はマーケティング担当者でビジネスの破壊者であり、消費者の視点とビジネスの知識を統合して新たな構想を作るのが仕事だ。

私たちは互いを信頼すると同時に、率直に意見を言い合った。

私がアメリカで手掛けた任天堂ゲーム機Wii(ウィー)の発売CMがいい例だ。2006年の秋、私がNOA(Nintendo of America)のセールスとマーケティングのEVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)から、COO(最高執行責任者)へと昇進したときのことだ。

そのとき作った広告は、2人の日本人ビジネスマンがアメリカを旅して、この最新の任天堂のイノベーションを自慢げに披露するという内容で、その主役はコントローラー、魔法のWiiリモコンだ。

岩田氏は京都でチームと一緒にWiiリモコンの開発を指揮した。特に画期的なのは動作感知のテクノロジーで、リモコンを振ってゲームができる。ベースボールゲームではバットを、テニスではラケットを振るようにリモコンを振ってプレイできる。

Wiiリモコンを使って幅広いゲーム体験ができることを伝えたおかげで、CMのインパクトは絶大だった。しかも日本人ビジネスマンが出会った家族と交流するという、愉快で共感できる内容に仕立てた。ビジネスマンが家族と一緒に様々なWiiのビデオゲームを楽しみ、愉快な動きや癖を披露するなど、打ち解けた仲間意識に包まれる。どのゲームのCMも、今や有名なこの文句から始まる。

「Wii would like to play(Wiiがあなたとの対戦を待っている)」

突然の「CM変更」電話

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