高速の料金変動制「全国へ適用」ニュースの波紋 ロードプライシングを2025年度から拡大へ
東洋経済オンライン / 2024年5月24日 7時0分
政府は5月10日、コロナ禍が明けて慢性化している高速道路の渋滞緩和策として、特定の時間帯や区間で料金を変動させるダイナミックロードプライシング(以下:ロードプライシング)を2025年度から全国で拡大する方針を固めた。
【写真】高速道路マニアの筆者が走ってきた混雑しがちな高速道路
読売新聞では、この発表よりも早く、5月6日の朝刊に1面でこのニュースを掲載したため、その後インターネットなどで議論が沸き起こっている。改めてこのニュースを整理しておきたい。
渋滞する時間は高く、空く時間は安く
交通機関や観光施設などは、原則として、あらかじめ決められた運賃や料金でそのサービスを提供するが、需給バランスを取るために季節、曜日、時間などで運賃・料金を変動させる施策を取ることがある。これが変動料金制、いわゆる「ロードプライシング」である。
航空運賃は、かなり以前から購入日によって、あるいは同じ日でも便によって価格が異なるので、「運賃は不変である」という考えはすでに大きく崩れている。
また、高速道路でも、平日よりも休日に通行料を安くする「休日割引」や、深夜0~4時に通行した際に受けられる「深夜割引」などが、すでに定着している。ただし、休日割引は需給調整というよりは、休日の利用促進策としての面が強い。
純粋なロードプライシングとしては、東京オリンピック2020開催時に関係車両をスムーズに通すため、首都高速道路で時間帯による変動通行料を実施した。
また、2023年からは東京湾アクアラインで、休日午後の川崎方面の渋滞緩和のため、午後1時~8時を通常の800円から1200円に、午後8時から0時までを600円に値下げする施策を実験として行っている。
アクアライン全体の交通量は、実験の前年同時期と比べて増加したが、値上げをした休日昼間の交通量は前後の時間帯に分散。渋滞による最大損失時間が、土曜日で約31%、日曜日で約21%減少となった分析が出されている。
また、夜の料金を値下げしたことで、千葉県の観光施設などの滞在時間が増えたといった総括もなされている。一定の効果は、あったと言えるだろう。この実験は、今年度も継続されている。
こうしたことを受けて、渋滞の激しい区間などで同様の価格変動制を導入しようというのが、今回の政府からの提案である。
これで高速道路の渋滞が本当に緩和されるなら、利用者にとっても悪くない施策である。しかし、現在のところ、筆者の周囲の声やインターネットの反響などを見ると、あまり評判が芳しいとは言いがたい。
時間をずらせない人には値上がりになる
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