1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

東大名誉教授が教える「物価上昇」続く根本原因 よいインフレ・悪いインフレの決定的な違い

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 15時0分

インフレには4種類あり、よいインフレと悪いインフレに分けることができます。

よいインフレ
1 「ディマンド・プル・インフレ」

悪いインフレ
2 「コスト・プッシュ・インフレ」
3 「スタグフレーション」
4 「ハイパーインフレーション」

このなかで重要な1「ディマンド・プル・インフレ」と2「コスト・プッシュ・インフレ」を説明していきましょう。

ディマインド・プル・インフレの「ディマンド」は日本語で「需要」を意味します。その意味の通り、需要の増加によって引き起こされるインフレを指します。世の中にお金が出回って、人々の財布のヒモが緩んでいて、欲しいモノを買う余裕がある。そのため、需要が供給を上回るほど増えてインフレが起きている状態です。

モノが売れる状況では、企業は供給を増やそうとします。製品やサービスの供給を増やすことで売上を伸ばせるためです。生産の増加は、雇用を増やすことになるので失業率は低下して、経済が活性化する道筋を描けます。

このようなディマンド・プル・インフレはよいインフレと呼ばれます。企業が労働者の賃金を上げるきっかけにもなるからです。物価が上昇しているために、給与を上げて実質的な賃金の価値を増やそうとする流れが起きるのです。企業の収益が増加して、物価以上に賃金が上昇するという理想的な流れが生まれます。

ただ、ディマンド・プル・インフレが起きればよいのかというとそうではありません。なぜなら、大切なのは「インフレの程度」だからです。

もし物価の上昇が激しすぎて、賃金の上昇がそれに追いつかない場合、消費者の購買力が低下します。例えば、日本を代表するテーマパーク「ディズニーランド」が入園料を値上げしたと仮定しましょう。

8000円から8500円の値上がりであれば、大きな負担は感じないでしょう。ところが、8000円から1万円に値上がり、その後も1万1000円、1万2000円へと値上がりが続いたらどうでしょうか。同時に私たちの給料も上がれば問題ありませんが、給料の上昇が追いつかなかったら、実質的に賃金の価値が下がります。

私たちの負担が増えたことになり、生活が苦しくなってしまいます。つまり、ディマンド・プル・インフレが起きても、賃金の引き上げがそれに追いつかなければ問題なのです。

生徒 よいインフレとは、ディマンド・プル・インフレが起きて、かつ賃金も同時にアップする現象ということですね。

はい、その通りです。よいインフレであれば、経済が活性化して、私たちも企業も豊かになっていき、国全体が経済的には理想の方向へと進みます。

コスト・プッシュ・ インフレの原因とは?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください