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ソニーがアニメ事業へ「超本気」で踏み込む胸算用 日本のアニメ業界が抱える"闇"を払拭できるか

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 13時15分

経営説明会で吉田憲一郎会長はクリエーター支援の方針を強調した(撮影:尾形文繁)

「アニメは世界に通用するエンターテインメントだ。非常にニッチだったアニメが大きなインダストリー(産業)に育ちつつある。ソニーもクリエーションで貢献していきたい」

【画像】アニメ制作ソフトウェアの提供にも意気込む、ソニーの十時裕樹社長

ソニーグループの吉田憲一郎会長は、5月23日に開いた経営方針説明会でグループとしてアニメ産業への支援を従来以上に手厚くする方針を明らかにした。

具体的には、海外でアニメのクリエーターを育成するアカデミーの設立を検討するほか、アニメ制作専用のソフトウェアを今年度中にもグループのエンジニアが開発する。このソフトは将来的な外販も含めて投資を強化する計画だ。

アニメで実績を積む

ソニーはアニメビジネスの拡大に成功している。傘下の製作会社アニプレックスが手がけた「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、興行収入で「千と千尋の神隠し」を抜いて歴代1位となった。

アニプレックスの傘下にはA-1 PicturesやCloverWorksといった有力アニメ制作スタジオも抱える。2021年には海外向けのアニメ配信サービス、Crunchyroll(クランチロール)を約1300億円で買収したことで、配信機能も獲得した。

ただ、今回は自社で抱えるアニメ関連ビジネスへの投資だけではなく、アニメ産業全体の育成にグループとして取り組むと踏み込んだ。背景には、産業全体に横たわる慢性的な人手不足と、不透明な下請け構造という問題がある。

今年4月、北朝鮮が日本のアニメ制作に関わった可能性がある、というニュースが業界を駆け巡った。アメリカの北朝鮮分析サイト「38ノース」が、北朝鮮が管理していたと思われるサーバーを調べたところ、今年7月から日本で放送予定のアニメ作品の制作過程のデータが見つかったのだ。

アニメの制作過程には多くの下請け企業が関わっている。シリーズごとに組織される製作委員会から、1クール(3カ月)分の制作を担当する元請け制作会社、1話分を担当するグロス請け制作会社へと順番に作画などの作業が委託される。

最終的には1枚200円前後という低価格で中国など海外の動画会社に発注する。制作にかかる人件費と売り上げが釣り合わず、多くの制作会社が赤字に陥っているのが実態だ。

38ノースが発見した画像データには中国語の修正指示が書き込まれていた。同サイトによれば、発注元が北朝鮮の関与を認識していた形跡はないというが、上述した過程のどこかで北朝鮮へと作画作業が委託された可能性がある。

アニメ制作のソフトウェアを開発

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