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中山秀征が志村けんから学んだ「バカでいろよ」  "師匠"から教えてもらった明るく生きるヒント

東洋経済オンライン / 2024年5月25日 16時0分

志村さんはコントの収録が始まる前に、セットの建付けから、小道具の一つ一つに至るまでくまなくチェックし、その後、カメラマンに細かくカット割りの指示をしていました。

「いいか、俺たち(出演者)が上から覗くような画にするなよ」

「テレビを観ている人たちが、俺たちを"上"から見ているように、そう、この画角で撮ってくれ」

カメラアングル一つにさえ決して気を抜かない。しかも、「観客を見下ろしてしまう可能性」を意識しているのか、と驚きました。白塗りのバカ殿メイクでありながら、その姿は、巨匠の映画監督のように見えました。

志村流「利口ぶらない」MC術

今では有名な話ですが、志村師匠はとても勉強家で、流行りの映画や音楽をほとんどチェックし、自分のコントにどんどん取り入れていました。

そして、あまり知られていなかったのですが、実は、政治や経済にもとても詳しかったんです。でも、その知識を決してひけらかしたりはしません。

その時、世の中で何が起きているのかを捉えたうえで、自分が作るものは、世の中にとって丁度良い"下"のスタンスを目指す。師匠は、時代に合った「バカ」でいるために、あらゆる情報を貪欲に吸収していたように感じました。

そんな志村師匠の姿勢を、僕は、情報番組のMCをしている時に意識します。

たとえば、経済の話題で、専門家に「物価対策」の質問をする場面。質問の仕方は、MCによっていくつかのパターンに分かれます。

よくあるのが、「物価高騰が続く中、賃金が上がらない現状があります。ここは、減税も含めた強い対策が求められますが、〇〇さん、いかがでしょうか?」。

MCが、ある程度、背景や筋道を説明してから質問する方法です。

このテクニックを使うと、MC自身がカッコよく見える。MCは台本や打ち合わせで、専門家の話の方向性も、ある程度わかっているから、そこを少し"先回り"して聞けばいいだけで、そんなに難しいことではありません。

僕もたまに、このテクニックを使いたいな、と誘惑にかられます。でも、その度、志村師匠の「バカでいろよ」「利口ぶるな」の声が聞こえてきて……。

「上から目線」にならないように聞く

僕の聞き方はこうです。

「最近、『物価対策、なってないんじゃないか!』という声をよく聞きます。〇〇さん、これって、どういうことでしょうか?」

物価上昇の背景や、今考えられている対策なども含めて専門家に解説してもらえるよう、なるべく、オープンな聞き方をします。

「情報を全く知らない」はMC失格ですが、「私は知っています。知っている上で、皆さんのために聞いているんですよ」と"上から目線"のアピールは絶対にしたくない。「利口ぶらない」ことを常に心掛けています。

正解かどうかはわからないけれど、これが、僕なりに貫いている"志村流"です。

志村さんが僕の誕生日会を開いてくださった時に撮った、ポラロイド写真があります。

この時、師匠が写真に書き添えてくれた言葉も「バカでいろよ」でした。今も、テレビタレントとしての「座右の銘」にしています。

とはいえ、こんな話をしていると、「バカでいろよ」の"種明かし"をしているみたいで……これって、「利口ぶってる」のでは……? 

酒の席で志村師匠に聞きたいです。「師匠、俺はバカでいられていますか?」と。

中山 秀征:タレント

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