1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

白目にシミ、黒目が欠ける「目の日焼け」の問題点 侮ってはいけない紫外線で「蓄積する」ダメージ

東洋経済オンライン / 2024年5月25日 11時20分

老眼は水晶体の柔軟性の低下によって、近くのものにピントが合いにくくなり、近くが見にくくなる病気。白内障は水晶体のタンパク質が白濁し、目がかすんで見えにくくなる病気だ。

通常、老眼は40歳以上、白内障は50歳以上で発症率が高まるが、紫外線によって水晶体がダメージを受け続けると、その発症年齢が早まるという。

紫外線の強い地域は子どもも要注意

季節だけでなく、地理的な位置によって紫外線の強さは異なる。そのため、地域(緯度)と、目の病気の発症には明確な相関関係が見られる。

特に紫外線の強い赤道に近い地域や高地では、目の病気の発症率も高い傾向にある。

日本では、沖縄、とくに西表島、石垣島などの離島で、瞼裂斑や翼状片、白内障の発症率が高いことが報告されている。本州、四国、九州地方は沖縄に比べると紫外線の量は低いが、まったく問題がない、というわけではない。やはり夏には十分な予防策が必要だ。とくに職業や趣味などで屋外の活動時間が長い人は気をつけたい。

瞼裂斑は紫外線の強い地域では10歳未満の子どもでも生じる。

金沢医科大学が内灘(石川県)、西表島、タンザニア在住の小学生を対象に行った眼疫学調査によれば、西表島や石垣島に住む小学生の瞼裂斑の有病率は高く、学年が上がるにつれその割合は高くなっている。西表島では小学6年生の約70%に初期の瞼裂斑が見られ、赤道に近いタンザニアに近いレベルだ。

ちなみに、本州の内灘(石川県)の小学生は高学年でも3.4%で、佐々木さんによると、東京の小学生もこれと同程度の発症率と予想されるそうだ。

子どもにも紫外線対策をしっかり

子どもと大人で目が浴びる紫外線量には差はないのか。

大人に比べて身長が低いため地表からの紫外線の反射光を浴びやすいこと、子どもは大人よりも瞳が大きいため、水晶体が紫外線を透過しやすいことなどの特徴が挙げられる。

子どもによっては、18歳になるまでに一生分の50%を浴びているそうだ。

そうした状況にもかかわらず、紫外線から目を守るサングラスを使っている子どもや若者が少ない現状を、佐々木さんは危惧する。

「特に、野球やサッカーなど屋外の部活に参加している子どもは、最長で大人の3倍の時間を外で過ごしています。子どものうちに紫外線を大量に浴びてしまうと、成人後に翼状片や老眼、白内障などの目の病気の早期発症リスクが高まります。子どもの紫外線対策こそ重要です」(佐々木さん)

外出するときは、子どものうちから、できるだけUVカット機能付きの眼鏡や帽子などで紫外線対策をしておいたほうがいいそうだ。

(取材・文/石川美香子)

金沢医科大学眼科学講座主任教授
佐々木 洋医師

1987年金沢大学医学部卒業後、自治医科大学眼科入局。アメリカ・オークランド大学眼研究所研究員等を経て、2005年より金沢医科大学眼科学講座主任教授。「特定非営利活動法人 紫外線から眼を守るEyes Arc」理事長も務める。国内外で紫外線関連眼疾患の疫学調査を実施している。

東洋経済オンライン医療取材チーム:記者・ライター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください