「アメ横」象徴だった鮮魚店が激減しカオスな街に 中国系が進出し400近い店舗の構成が大変貌
東洋経済オンライン / 2024年5月25日 12時0分
女性が集まる店はまだあった。青果店がやっているスイーツのコーナーだ。串が刺さったりんご飴、いちご飴が彼女たちのお目当て。100%フルーツ果汁を使ったイチゴミルク、マンゴミルク、メロンミルクなども人気だ。
ひと通り歩き、ちょっと疲れたので気になっていた台湾スイーツの店「黒工号」に立ち寄り、台湾名物「嫩仙草」(のんせんそう)を試してみた。紫蘇科の薬草「仙草」を乾燥させて煮詰めたゼリーで、中医学では生薬としても利用されているという。イモボール、黒米、ミニイモエンが入った「黒工1号」(880円)を食す。ほろ苦さとほんのりさわやかな風味。カラダに良さそうな気がしてくるから不思議だ。
アメ横には400近い店舗が軒を連ねているが、最近、目立ってきているのは多国籍化した飲食店だ。ここ数年の変貌ぶりについて、この地で33年間革商品店「アルバカーキ」を経営しているアメ横商店街連合会副会長(広報担当)の千葉速人さんに話を聞いた。
「もともとアメ横には飲食店はほぼなかったんですよ。それが10年ほど前にケバブの店ができてから流れが変わり、5、6年前から急速に飲食店が増えましたね。コロナ禍と後継者難で店をたたんだ後には、中国系の人たちがどんどん入ってきていますね。逆に鮮魚店はずいぶん姿を消しました。かつては路面店200軒のうち40軒近くが鮮魚店と乾物屋でしたが、鮮魚店は今では数えるほどですよ」(千葉さん)
来客の7割は外国人に
平日は数万人、年末になると数十万人が押し掛けると言われているが、最近はどうなのか。
「近頃は7割が外国人ですよ。今日は平日だからまだ少ないけど、土日は通りを歩くのも大変なほどの活況ぶりです。立ち飲み、食べ歩きが目立ちますね。
ただ、もっと物販の店にも目を向けてほしいですね。アメ横は百貨店を平面に倒したような商店街で、車以外は何でも売っている商店街ということをもっと知っていただきたい。掘り出し物、宝物探しの感覚で楽しんでほしい。歴史ある店を巡り対面販売ならではの会話を楽しむ。そんなアメ横文化に浸っていただきたいですね」(同)
戦後80年近い歴史を誇るアメ横のルーツ
アメ横の歴史は古い。敗戦後、焼け野原となった一帯で誕生した闇市がルーツ。多くの闇市は的屋が仕切っていたが、アメ横は満州からの復員兵400人が共同体、連合会を形成して出店を統制したという。
上野側は飴玉を売る店が多かったことから「飴屋横丁」、御徒町側はアメリカの舶来品が多かったことから「アメリカ横丁」と呼ばれ、いつしか「アメ横」と呼ばれるようになったという。
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