「道長や皇子を呪う」恐ろしすぎる事件の"黒幕" 内裏で呪いの札が見つかる、犯人は一体誰か
東洋経済オンライン / 2024年5月25日 8時30分
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は道長や娘の彰子、その子供の敦成親王(後の後一条天皇)が呪われた、ある事件を紹介します。
著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。
1008年は、藤原道長にとって、人生でいちばん幸せだった年かもしれません。その年の9月に娘の彰子が、待望の一条天皇の皇子(敦成親王。後の後一条天皇)を出産したからです。
【写真】道長らとともに呪いをかけられた後一条天皇。写真は京都にある後一条天皇陵
しかし、翌年早々、道長を震え上がらせる事件が起こります。中宮・彰子と生まれたばかりの敦成親王、そして何と道長までをも呪う厭符(呪いのお札)が発見されたのです。
誰が道長や中宮、皇子を呪ったのか
厭符は内裏で見つかったと言われています。道長の邸を訪れた藤原行成は、その厭符を見せられたようです。一体、誰が道長たちを呪ったのでしょうか。
呪ったと疑われた僧侶や陰陽師らは拷問され、犯人探しが始まります。その結果、源為文・源方理夫妻・高階光子(佐伯公行の妻)が犯人として浮かび上がってきました。彼・彼女らが僧侶の円能と話し合い、呪ったというのです。
彼らの関係性を整理すると、源方理の妻は、源為文の娘でした。そして、高階光子の父は高階成忠、姉には高階貴子がいました。
重要な点は、この貴子の夫が、藤原道隆(道長の兄)だったことです。貴子は、道隆の子女(伊周・隆家・定子)を産みました。
定子は一条天皇の中宮となったため、外祖父である高階成忠の地位も上昇、従二位まで出世します。
しかし、道隆は病没し、その子・伊周と隆家は、道長との政争に敗れ、没落。定子も1001年に亡くなってしまいます。道隆を祖とする関白家の衰退に、高階成忠や娘・貴子も心を痛めたことでしょう。
ちなみに、高階成忠の動向を『栄花物語』から見ていくと興味深いことが判明します。
娘の夫の関白・藤原道隆が飲水の病(糖尿病)となり、衰弱していたとき、出家していた成忠は「いろいろと心配して、祈祷を行っていた」そうです。北の方、つまり貴子も、あらゆる手を尽くしたとのこと。夫の病が平癒するよう、僧侶に祈祷を依頼することもあったのでしょう。
ところが、祈りの甲斐なく、道隆は死去。道隆の葬送が行われますが、高階成忠はそれにも加わらずに、あることを行っていました。高僧たちを集めて、道隆の子・伊周の執政が続くことをひたすら祈らせていたのです。
この記事に関連するニュース
-
すべては道長追い落としのため 陰謀に走った藤原伊周・隆家兄弟 陰陽師、僧侶、宿曜師などうごめいた貴族社会の闇
まいどなニュース / 2024年6月26日 19時0分
-
天皇になれる血筋だったのに、20歳で夭逝…「藤原道長の壁」を超えられなかった「定子の息子」の悲劇
プレジデントオンライン / 2024年6月23日 18時15分
-
なぜ周囲の反対を押し切って定子を内裏に戻そうとしたのか…一条天皇が当時では珍しい「純愛」を貫いたワケ
プレジデントオンライン / 2024年6月23日 8時15分
-
道長も困惑した「一条天皇」暴走する"皇后への愛" 花山院の藤原忯子への寵愛も格別なものだった
東洋経済オンライン / 2024年6月9日 10時30分
-
皇后・定子の家庭を壊すためならなんでもやる…権力の亡者になった藤原道長がとった前代未聞の奇策
プレジデントオンライン / 2024年6月2日 17時15分
ランキング
-
1関東「気動車王国」の離れ小島路線が面白い! 不思議な“右ハンドル”車両 3駅の路線に“スゴイ密度”であるものとは?
乗りものニュース / 2024年6月29日 15時12分
-
2「押しボタン式信号」なぜ“押してすぐ青”にならないケースが? 納得の理由があった!
乗りものニュース / 2024年6月29日 16時42分
-
3ソニー宮城拠点、250人削減=ブルーレイ、生産縮小
時事通信 / 2024年6月29日 15時49分
-
4意外な面倒さも? 財布いらずの「スマート支払い」、店側はどう思っているのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月30日 8時10分
-
5あおり運転被害72.5%に増加…チューリッヒ保険調査
レスポンス / 2024年6月29日 16時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください