「定年退職後」にやってくるお金の危機"3つの波" めでたいはずの「長寿」をリスクにしないために
東洋経済オンライン / 2024年5月26日 7時50分
次に、差し引くのは「備える」お金です。リタイア後の生活では、これをしっかり確保することが心配事の解消につながります。最後に、残った分がこれから「使う」お金(今から使えるお金)となります。
例えば、手持ちの老後資金が2000万円の場合、「残す」お金500万円、「備える」お金に500万円と分けていくと、「使う」お金は1000万円。
単純に1000万円を月5万円ずつ取り崩すと、約16.6年。
そうなんです。こう分けてみると、これから使えるお金は多くない。ちなみに、平均余命は70歳男性が約15年。女性は約19年です。男性はギリギリ持つくらい。女性はピンチ!
でも、これはあくまでも試算に過ぎません。あなたが、3つのお金をどう分けるかは自由です。ぜひ、いろいろと考えてみてくださいね。
では、三分法のお金の分け方の詳細を1つずつ見ていきましょう。
「残す」お金
「残す」お金は、
・あなたが亡くなった後の家族(配偶者、子どもなど)の生活費
・ご自身の葬儀費用、死後の手続き費用
・使い切らずに、最後まで余裕を持って豊かに生きるためのお金
などが該当します。ほかのお金と同じく、預貯金でも構いません。あるいは、亡くなった時に、家族が保険金を受け取れる終身保険などであれば、確実に、残したい人にお金を受け取ってもらえます。
私のお客さま(70代・女性)で、ご自分の葬儀費用を「金地金」で準備している人がいらっしゃいました。ここ最近の金の価格は、ほぼ右肩上がりですから、亡くなる時には、さぞ、立派なお葬式があげられることでしょう。
本当に「今必要なお金」を洗い出そう
「備える」お金
「備える」お金は、「もしもの時」のためのお金です。
・病気やケガの入院費用
・要介護状態や認知症になった時の費用
・地震や台風などの災害、自宅のリフォーム費用
などが該当します。このお金は、銀行の預金や郵便局の貯金で確保しておきましょう。ここでの注意点は、不測の事態に「備える」お金ですから、いつでも引き出せるよう「流動性」の高い普通預金・通常貯金に入れておくこと。定期預金等にする場合は、満期の短いものに変更しておいてください。
また、医療保険やがん保険、介護保険、認知症保険、火災保険(地震保険)など、保険商品を活用するのもよいでしょう。
「使う」お金
「使う」お金と言っても、全額がすぐに必要になるものではありません。次の3つに分けて考えることで、本当に今必要なお金を洗い出せます。
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