イライラを鎮めてメンタルを安定させる「食」養生 漢方では五臓六腑の「肝」を整えることを目指す
東洋経済オンライン / 2024年5月27日 13時0分
説明しますと、漢方では体の機能は「肝、心、脾(消化器系)、肺、腎」という五臓に分類されていて、これらにはそれぞれ「怒、喜、思(思い悩む)、悲、恐」といった感情「五志(ごし)」が対応しています。
五臓と五志はお互いに深い関連を持っていて、お互いに影響を与えていると考えられています。以下の表のような感じですね(※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
「恐怖で白髪に」を漢方的に見ると
具体的にどんなことがあるか見てみましょう。
例えば、強い怒りは肝(かん)の不調を招き、イライラしやすくなる、キレる、震える、筋肉がけいれんするといった症状をもたらします。怒りで震えるのは肝の反応です。
ほかにも、喜びも度が過ぎると心(しん)を傷つけます。宝くじに当選して心臓発作を起こしたり、推しのアイドルのコンサートで失神したりといった例がそれにあたります。
思い悩んで食欲が低下するのはわかりやすい例ですが、逆に脾(胃腸)の不調からうつなど精神的な疾患を発症することもあります。
また、恐怖で急に白髪が増えるのは、髪は腎がつかさどっている部位だからです。
今の時期に不安定になりやすいのが肝で、肝の働きを良好な状態に保つことが、メンタルヘルスの要になるとされています。
漢方でいう肝は、西洋医学でいう臓器の肝臓を含めた広い概念のことをいい、体に入った有害な物質を解毒する働きや、血(けつ:主に血液のこと)を貯めておく働き、さらには、気(生命エネルギー)や血を全身に巡らせる働きがあります。
そして、この肝に関係する五志は、怒です。怒が強かったり、長引いたりすると、肝に負担がかかり、先に挙げたような肝の働きが弱まってしまうのです。
「怒り」が頭や目にダメージを与える
怒は、人間の気持ちが激しくなったときの感情の変化です。
体や心を破壊的に働く有害な刺激で、まさに怒りで頭に気や血が上ってしまうと、頭や目などの重要な器官にダメージを与えてしまいます。この状態を漢方では「怒は肝を傷る(やぶる)」とか、「怒ればすなわち気上る」とかといいます。
怒には、単なる怒りだけでなく、ストレスによって生じる感情も含まれます。特に気を付けたいのは、身体的ストレスです。
ストレスというと精神的なものを思い浮かべる人が多いでしょうが、気候の変化や寒暖差といった体への負担も、大きなストレスです。今年は例年になく寒暖差が大きく、身体的な負担が大きいと感じている人、または不調として表れている人が増えているように思います。
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