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トヨタが「BYDの技術を採用」で呼ぶ大きな波紋 日本メーカーが中国テックに秋波を送る意味

東洋経済オンライン / 2024年5月27日 7時20分

たしかに、中国ではBEVメーカーが乱立し、車載・コネクテッド技術にバラツキがあることは否めない。しかし、メーカーの淘汰は進んでおり、強い者がますます強くなり、そうでない者との格差が広がる「マタイ効果」が顕在化しつつある。

ファーウェイは、独自のスマートモビリティソリューションの「鴻蒙智行(HIMA=ハイマ)」を地場自動車メーカーに提供し、ファーウェイ色の濃いスマートカー連合を確実に拡大させている。

中でも「問界」「智界」など、HIMA系列ブランドの販売台数は2024年1~4月に計12万台に達し、中国新興勢の首位に躍進した。

バイドゥは、中国大手の吉利汽車(ジーリー)と合弁で「極越汽車(ジーユェ)」を展開し、2023年11月にLiDARを利用しない高度自動運システムを搭載するBEV、「極越01」を投入。アリババグループと上海汽車(シャンハイ)、張江高科技の3社共同で設立したBEVメーカー「智己汽車(IM Motors)は、2022年に高級BEV「智己L7」を生産開始した。

スマートフォン大手のシャオミが今年3月末に発売した同社初のBEV「SU7」は、家電やスマホなど各種デバイスが連動する機能を導入し、「走るスマホ」を目指している。

自動車の知能化が進む中、通信技術やIoT(モノのインターネット化)などの技術との親和性が高いテック企業は、現在の流れを商機と捉えているようだ。

車両の電動化を前提とするコネクテッドカー市場は、エンジン車生産と異なるコンセプトでルールチェンジされ、新たな口火が切られたといえる。ファーウェイ、バイドゥ、シャオミなど異業種から参入した企業が、本業のエコシステムを活用し、斬新なデザインや機能で消費者の目を奪っているのだ。

地場自動車メーカーも無視はできず、相次いでスマートカー開発に力を入れている。こうした新潮流の後押しにより、中国のBEVは想像以上のスピードで進化しているのである。

中国企業の急速な拡大に遅れないために

ガソリン車時代は、外資系合弁メーカーが製品力とブランド力を武器に、中国市場で圧倒的地位を構築してきた。ここにきて、地場自動車メーカーがBEV市場で先行し、「モノづくり力」も急速にキャッチアップしている。

日米欧自動車メーカーのBEVが、中国テック企業に秋波を送り始めたことは、中国BEVの基幹技術やサプライチェーンの競争力が高いことを示しているといってよい。

「日本勢は、中国市場をグローバル市場と切り分け、BEVラボと位置づけるべきだ」との声も聞こえてくる。しかし、中国BEV市場の拡大は、決して技術・消費嗜好のガラパゴス化にならず、中国勢は自動車輸出を強化。さらに東南アジア、南米、ヨーロッパにもBEV工場を建設し始めている。

全方位戦略、電動車専業、エンジン車のニッチ市場などに取り組む日本勢は、中国テック企業との協業を含む合従連衡を模索する必要があるだろう。同時に、スマートカー技術や乗車体験の向上も必要であり、サプライヤーチェーンの変革を通じた電動化シフトの成果を少しでも早く見せる必要がある。

湯 進:みずほ銀行ビジネスソリューション部 主任研究員、中央大学兼任教員、上海工程技術大学客員教授

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