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西武が売却?「赤プリ跡地の施設」失敗の本質理由 多様性を求めると、商業施設はパッとしなくなる

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 12時10分

2011年、老朽化なども相まって取り壊しが決定し、その跡地が東京ガーデンテラス紀尾井町になったというわけだ。しかし、赤プリの印象が強すぎるのか、東京ガーデンテラス紀尾井町、なんだかパッとしない。今回のニュースはそれを証明した。商業施設としてはうまくいっていないのだ。

この売却については、「資産の切り売りでは?」という声も聞かれる。みずほフィナンシャルグループからやってきた社長・会長が他業種の経営に向いているのか、ただ保有している資産を売り払って当座のキャッシュを手に入れているだけではないのか、と勘繰る声も多い。

そうした側面があるのかどうか、わからない。

しかし、ここでは、東京ガーデンテラス紀尾井町について、その施設のあり方から、不調の原因を考えてみたい。そもそも、ここがうまくいっていれば、売却の話も出なかったはずだからだ。

東京ガーデンテラス紀尾井町には何が足りなかったのか。ポイントは2点ある。1つ目は、「世界観の構築が曖昧なこと」、2つ目「消費者ニーズを満たせていないこと」である。

麻布台ヒルズはインバウンド向けに振り切ったが…

1点目の「世界観の構築が曖昧なこと」。東京ガーデンテラス紀尾井町、行ってみるとわかるのだが、「誰向け」の場所なのかが、わからない。

これを考えるためにちょっと回り道したい。昨年11月に誕生した、「麻布台ヒルズ」のことだ。森ビルが作り出した新しい商業施設だが、ここはターゲットをインバウンド観光客にほぼ振り切っている。

それは、例えばレストランのテナントを見ればわかる。高級寿司店の代表格「鮨さいとう」をはじめ、鰻や和牛。ショップでも、おつけものなど、日本食の一流を提供するテナントが揃っている。

IP戦略もすごい。「集英社マンガアートヘリテージ」では、今や世界中から人気を集める集英社の漫画作品の展示がされている。国際的評価も高いチームラボの常設展示もある。さらに、施設中央の庭園は少し窪んでいて、そこから周りを見渡すと、東京タワーに摩天楼という「シティ・ポップ」を体現したかのような風景。外国人が望む「ニッポン」がここにある。

ここは「ニッポン」のテーマパークなのだ。「世界観」の構築、そしてそれを支える「誰に向けているのか」がとてもわかりやすい施設になっている(もちろん、それゆえに「日本人を相手にしていない!」という批判がくるのだろうが……)。

翻って考えると、東京ガーデンテラス紀尾井町は、なんというか、パッとしない。

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