西武が売却?「赤プリ跡地の施設」失敗の本質理由 多様性を求めると、商業施設はパッとしなくなる
東洋経済オンライン / 2024年5月29日 12時10分
例えば、レストランは、「すぱじろう」、「フレッシュネスバーガー」のような比較的低価格帯の店もあれば、「人形町今半」「赤坂 桃の木」のような高級店もある。オフィス利用をする人も多いから、そうした需要に対応するために低価格帯の飲食店も入れているのだろう。
でも、そうした利用をする人からすると、普段使いできる店が特段多かったり、種類が豊富だったりするわけでもなく、施設全体としては使いにくい。逆に観光客からしても、ちょっと良い店が数店舗集まっているだけなので、だったら他の施設に行くか……となる。中途半端なのだ。
自慢の庭園もそう。庭園自体は広くて良いのだ。とても過ごしやすい。でも、すぐそばには高層ビルが建っていて、完全に開放感があるかといえば、そうでもない。
また、ちょっと横のサイドウォークのようなところを歩くと、江戸時代のお堀と城壁跡、そして首都高速が一望できる眺めの良い場所があるのだが、そこの周辺は草が生い茂り、暗くなっていて、なんというか、あまり景色を楽しませるようなものになっていない。「だれのために」「どんな施設にするのか」という世界観がないのだ。
世界観がないことは、つまり「パッとしない」ことを意味する。「赤プリ」のイメージに負けてしまう理由が、ここにある。
若者ニーズにフォーカスした施設「ハラカド」
さて、ここまで説明すると、2つ目の理由も明らかだ。
「誰のために」「何をするのか」が決まっていない世界観が見えない施設は、はっきり言えば、「顧客ニーズ」を満たすことができない。
それもそのはず。おそらく、そもそも「顧客」が見えていない。だから世界観も作れないし、顧客ニーズも満たすことができない。
この点でいうと、4月に誕生した「ハラカド」は興味深い施設の作り方をしている。
ここの4階は、「ハラッパ」というパブリックスペースになっていて、テナントがほぼ何もなく、ただただ広い場所とベンチなどの座る場所がある。また、5階以上のレストランフロアでも座れる場所が目立ち、屋上広場に至っては電源が付いたテーブルさえある。
「若者の誘致」を真剣に考えているハラカド
これが何を意味するか。「若者の誘致」だ。
私は最近、特に若年層を中心として、彼らが都市に求めることをインタビューしたりしているが、その中でもよく聞くのが「無料でいられる場所がない」という声だ。特に都心になればなるほど、消費を迫られているような気がしてしまうという人も多い。
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