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JR東、申し込み殺到「JREバンク」で特典奮発の勝算 破格の大盤振る舞いでも相互送客で実を採る

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 8時0分

JREバンクは鉄道から小売り、不動産まで「ポイント経済圏」拡大を狙うJR東日本の橋頭堡となる(撮影:JR東日本)

「申し込みが殺到して入会受付を制限したという話は、これまでの金融サービスで聞いたことがない」(ある金融関係者)

【写真】JR東日本は「JREポイント」について経営ビジョンの中に盛り込んでいた

そのように金融関係者をも驚かせたのは、JR東日本のデジタル金融サービス「JRE BANK(JREバンク)」だ。バンクと銘打つようにインターネット上に開設する専門口座では、預金など一般的な金融機関の銀行サービスが利用できる。鉄道会社ならではの利用特典も付与されている。

サービスは5月9日に開始した。ところが想定以上の申し込みが押し寄せ、受付のキャパシティーがオーバー。口座開設を申し込んだユーザーに届くはずの案内メールが、数日間遅延する事態が発生した。

初日は12時にサービスを開始し、19時頃には申し込み受付を終了した。その後も5月12日まで断続的に受付を制限した。

「登録情報の扱いが心配だった」とユーザー

「1日の受付件数として相当に余裕を持った数を想定していたが、それを上回るほどの申し込みがあった」。JR東の傘下にあるビューカードでJRE BANK推進部に所属する植田昌寿氏は事情を語る。

ただユーザーの間では不安の声が上がっていた。「SNSでも話題になっていたが、私も申し込み完了メールが届かなかった。登録した内容が受け付けられているのかどうかわからないし、情報の扱いも心配。悲しい思いだった」(サービス開始直後に入会を申し込んだ40代の女性)。

出足にいきなり混乱したJREバンクだが、その後の4~5日でメール遅延などの問題は解消した。

「送信元のドメインについては、JREバンクの専用のものを用意していたが、(所属銀行の)楽天銀行のドメインに切り替えて対応した。今は落ち着いている」。ビューカードのJRE BANK推進部・和田晃一部長は説明する。

JREバンクに申し込みが殺到した理由は、ユーザーが恩恵を受ける入会特典が「破格」であるからにほかならない。

JR東の運賃が4割引となる割引券や、利用状況に応じて最大6000ポイントのJRE POINT(JREポイント)、そして普通列車のグリーン車に乗車できる「Suicaグリーン券」などが付与される。ライバルである私鉄大手の幹部が「けっこうな大盤振る舞い」と評するほどの特典だ。

こういった特典は、JR東グループ内に設けられた7名ほどの「JREバンク対応チーム」が中心となり1年以上かけて議論して決めたものだ。

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