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「日本舞台の人気ゲーム」新作が海外で炎上のなぜ 考えなしに多様性に「屈する」ことのリスク

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 12時30分

Wokeに対する反発はつねにある

Ubisoft自体は、日本を舞台にしたゲームの主役が日本人ではなく、黒人であることが注目され、批判を浴びる可能性があることを予想していただろうか? 昨今の状況を考えれば、もしそうでなければ驚くべきことだ。Woke的なものに対する反発は、実は何年も前からメディアにつねに存在している。

もっとも、注目を浴びるために論争を利用することは新しいことではない。これについては、2つの有名な言葉が思い浮かぶ。1つは、アメリカの有名な興行師、P.T.バーナムの「悪評も宣伝のうち」という言葉である。そしてもう1つは、著名作家、オスカー・ワイルドのこの言葉だ。「世の中で話題になっていることより悪いことは1つしかない。それは話題になっていないということだ」。

もし今回の炎上が意図されたものだとしたら、ミッションは成功したと言える。少なくとも海外のネット上では、「アサシン クリード シャドウズ」の話題で持ちきりだ。

この種の戦術が採用されたのは今回が初めてではない。

最近では、ディズニーが実写版『リトル・マーメイド』のアリエルを白人女性ではなく黒人女性が演じると発表し、同様の批判を受けた。ディズニーは、この選択が騒動を引き起こし、より多くの注目を集めることを予期していたのだろうか――おそらくそうだろう。

多くの反発はあったが、この映画の興行収入は全世界で5億7000万ドルと、ディズニーにおける実写版としては過去最高を記録した。スターの民族性をめぐる "スキャンダル"が、この数字に貢献したのか、それともマイナスに働いたのか、定かではないが、悪い数字ではないだろう。

アジア人役に白人を採用してコケた

映画版『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、アジア人キャラクター役に白人女性のスカーレット・ヨハンソンを選んだ。映画製作者たちは、ハリウッドにおける「ホワイトウォッシング(白人以外の役柄に白人を配役すること)について疑問の声が上がったり、SNSで炎上する可能性を考慮しなかったのだろうか。

スタジオが雇った広報会社が間抜けでなければそうした反応は容易に想像できただろう。実際、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の興行収入は製作費をわずかに上回る程度で、大失敗に終わった。パラマウントの国内配給責任者であるカイル・デイヴィスは、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の興行成績不振の理由はホワイトウォッシング論争にあったと告白している。

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