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子ども望む男女の「はしかワクチン接種」の重要性 免疫がない人の感染リスクは思った以上に高い

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 7時50分

未来の子どものためにやっておきたい「麻疹対策」について専門家が解説します(写真:metamorworks/PIXTA)

麻疹(はしか)の流行が収束したらしい。

【写真で見る】麻疹(はしか)の輸入ワクチン。都内のクリニックでは1万3000円で全額自己負担だが、接種を希望する人は少なくない

だからといって安心はできない。なぜなら根本的な問題が解決されたわけではないからだ。本稿では、麻疹ワクチン接種の重要性、特に出産を考えている世代や0歳児と接する人々への接種の重要性を論じたい。

麻疹対策も収束してしまった

国立感染症研究所によれば、麻疹感染者は2024年の第12週(3月18〜24日)を最後に確認されていない。初めて感染者が確認された第7週(2月12〜18日)以降、感染者の合計は21人で、流行は当初危惧されたほど拡大せず、小規模で収束した。

残念なのは、感染者の減少とともに、盛り上がった麻疹対策の議論も“収束”したことだ。

2019年の麻疹の流行時もそうだった。

2022年7月に我々の研究チームは、流行とともにワクチン接種を希望する人が急増したが、感染がピークを超え、マスコミ報道が減ると急速に関心が失われたことを『アジア・パシフィック公衆衛生学誌』に報告した。今回も状況は変わっていない。

しかし、我々が認識しなければならないのは、世界の多くの国では、今でも麻疹が流行しているという現実だ。

グローバル化が進んだ昨今、日本も海外における流行国との交流は避けられない。今回の流行も、2月にアラブ首長国連邦(UAE)から関西国際空港に到着した人で感染が確認されたのがきっかけだ。

2020年に始まったコロナパンデミックで海外との交流は止まり、麻疹の流入も一時的に抑制されたが、それ以前は2017年に186人、2018年に279人、2019年に744人と、毎年数百人の感染者が確認されていた。

コロナパンデミックが収束し国際交流が再開した今、状況はパンデミック前に戻るだろう。円安が加速していることもあって、日本にはさまざまな国から外国人が押し寄せている。

国際交流で麻疹患者が増加

国際交流の加速とともに麻疹患者が増えるという状況は、日本に限った話ではない。

麻疹を克服したと考えられていた先進国のなかには、近年、再び流行を繰り返すようになった国が少なくない。2019年8月に世界保健機関(WHO)は、イギリスやギリシャ、チェコ、アルバニアを「麻疹の流行が消滅している国」のリストから除外したことなど、その一例だ。

麻疹が撲滅できないのは、感染力が強いからだ。

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