蒲タコハイ駅「看板撤去」の"納得できなさ"の正体 京急・サントリー施策にNPO法人が猛抗議
東洋経済オンライン / 2024年5月30日 19時30分
加えて、「酒類の交通広告」には自主規制などが定められている一方、まだ問題があると指摘し、「不特定多数が利用する極めて公共性が強い場」である駅への広告出稿を非難する。
そして「乗客には、20歳未満、ドクターストップで禁酒・断酒中の人や飲めない体質の人もいます。また、早朝からの通勤・通学や勤務の移動時に酒類広告はなじみません」と主張しつつ、「公共性を完全に無視した愚行です。絶対にやるべきではありません」と断じた。
上記の申し入れ書をめぐる報道が、小学館の「NEWSポストセブン」に報じられた5月27日ごろから、この話題が注目を集めるようになった。
同記事ではサントリー広報部の回答も掲載され、駅構内に掲出予定だった広告を縮小したと明かされた。加えて28日には、新聞各社が「29日には撤去」と報道。なお6月の「京急蒲タコハイ駅酒場」については、引き続き開催予定だと伝えられている。
「過剰反応なのでは?」との声も
一連の報道を受けて、SNS上では酒類広告の問題点を挙げる反応がある一方、どちらかと言えば「過剰反応なのではないか」との指摘が多く見られる。なかには地元住民と思われるユーザーから「蒲田らしさがあったのに残念」といった肯定的な意見もある。
アルコール飲料に依存性があり、人体に影響をおよぼすとの主張には、理解を示す余地はある。ただ筆者は、医療の専門家ではないため、ここでは深掘りせず、別の側面から「タコハイ騒動」を眺めてみたい。
筆者は10年ちょっと、ネットメディア編集者を仕事にしている。その経験から「炎上ウォッチャー」を自称しているが、一番長く在籍したのは、地域情報サイトだった。交通も観光も扱う媒体で、最終的には編集長も担当した経験から、「地域活性化」の観点を交えて考える。
今回のケースは「NPO法人の要請で看板撤去」といったインパクトのある事象のみが、ひとり歩きしている印象を受けるが、その色眼鏡を外すと「あらゆる先行事例の組み合わせ」と言える。
たとえば、「蒲田」を「蒲タコハイ」ともじったのは、京急のお家芸とも言える「ダジャレ駅名」の一環だ。三崎口駅(神奈川県三浦市)への企画乗車券を販促するべく、「三崎マグロ駅」に看板を掛け替えたり、京急蒲田駅自体も「北斗の拳」とのコラボレーションで「京急かぁまたたたたーっ駅」を称したりしていた。
ギャグとして成立しているかは別にして、今回の「蒲タコハイ駅」を聞いたとき、「また始めたのね」と感じたのは筆者だけではないだろう。
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