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「公立中高一貫校」目指すのに欠かせない2つの条件 「3年間塾漬け」でも受からない子は受からない

東洋経済オンライン / 2024年5月31日 6時50分

1つ目は、学問コンテストでの入賞者の多さです。

都立小石川をはじめとする公立中高一貫校は、数年にわたって国際物理オリンピック、情報オリンピック、地学オリンピック、化学オリンピックなどの学問コンテストで多くの入賞者を輩出しています。都立武蔵高等学校・附属中学校は数学オリンピックで、都立桜修館中等教育学校は地理オリンピックで入賞者を出しました。

他県でも、府立洛北高等学校・附属中学校(京都府)、宮城県仙台二華中学校・高等学校(宮城県)、県立岡山大安寺中等教育学校(岡山県)といった都市部の進学校化した公立中高一貫校が顕著な実績を挙げています。

もう1つの証拠は、東京大学の推薦合格者の増加です。

2024年度の速報値では、都立中高一貫校10校から6人の合格が出ています。東京の私立中高一貫校ですら181校から16人の合格にすぎません。

2016年に始まった東京大学の推薦入試では、高い学力だけでは合格に至りません。学問への熱意を示す実績が必要とされます。合格者の体験記を読むと、小学校時代の「余白の時間」を、専門性を深める学びに費やしていた人が多いのです。

"小学生の頃から鳥類の研究に打ち込んでいた""自宅でビオトープを作り研究に没頭した""素数の研究に挑戦した""Webレッスンや洋書で語学力を養った"など、公立中高一貫校は、早熟で学習意欲旺盛な子どもが、長期間受験勉強で日常生活を縛られることなく進学校に入学できる可能性があります。

私が認める公立中高一貫校の最大の利点は、この点にあります。偏差値や大学合格実績という、上辺だけの評価では見落とされがちな視点でしょう。

暗記では対応できない「適性検査」という魔物

公立中高一貫校は、入学者選抜に際して、受験競争の低年齢化を招く学力検査を課さないというルールがあります。それに代わるものとして実施されているのが「適性検査」です。

この適性検査が「魔物」なのです。適性検査では理科と算数を組み合わせたりする科目横断型の問題が出題されます。一問一答形式の知識を問うものではなく、知識の運用力、思考力、正確な読解力、表現力を評価します。暗記やパターン問題演習ではとても対処できません。

都立中高一貫校の合格に必要な要素を、簡略化した図で表してみました。各都道府県の適性検査の出題傾向や要求学力水準に違いはありますが、都市部の進学校化した公立中高一貫校は、おおむね共通しているでしょう。

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