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中古マンション「戸建てより大幅値上がり」のなぜ 買って損しない「資産性を保つ」絶対条件とは?

東洋経済オンライン / 2024年5月31日 11時0分

中古マンションと中古戸建ては価格が決まるメカニズムが違います(写真:shimanto/PIXTA)

中古マンション価格は2012年と比較して、直近半年(2023年8月~2024年1月)は約2倍に値上がりした。全国で190%、首都圏では189%、近畿圏では187%となっている。それに対して、中古戸建て価格は全国で119%、首都圏では126%、近畿圏では122%となっている。マンションは戸建てに比べて大幅に値上がりしているのはなぜだろうか?

これにはいくつかの要因があるが、それぞれの価格の決定要因を理解しておく必要がある。新築価格はマンションでも戸建てでも土地代+建物代の足し算で決まる。これを「積算価格」と言う。新築価格が値上がりすると周辺の中古価格は連れ高になる。

戸建ての建物代は22年で減価償却

一方、中古価格ではマンションと戸建ては違うメカニズムで価格決定される。戸建ては新築同様に土地代と建物代の足し算となるが、建物代は木造なので22年で減価償却することにされている。つまり、22年で資産価値がゼロになる計算をする。1年に4.5%も下落するのだ。土地代は購入時と変わらないケースが多いので、建物が古びた分だけ安くなる。

これは銀行の評価方式の問題でもある。銀行は住宅ローンを出す際に、不動産の評価を行うが、戸建ては積算で、マンションは取引事例で行う。

そもそも減価償却は経費計上するための税制上の話であって、実際の資産価値を意味しない。もし、そんな短期間に資産価値が下がるなら、長期優良住宅など存在しないことになる。単に、銀行の評価方式が経済的な価値に対応できていないのだ。しかし、住宅ローンでの借入額が頭打ちになっていては、売買価格は上がるわけはない。

ちなみに、アメリカでは減価償却での経費計上は認められているが、資産価値は別評価になる。イギリスでは地震がほぼないことから、建物が劣化するという考えすらなく、減価償却制度自体がない。日本でもマンションに対する戸建て差別とも取れる方式は非常識だと筆者は考える。

中古マンションに積算価格を適合しにくい理由

不動産における消費税は土地代にはかからず、建物にだけかかる。このため、新築でも中古でも売買するときに建物代は明確になっている。その点では、戸建てもマンションも同じなのだが、マンションは土地に実感がない。10m2相当の土地を持っていると言われても、どの部分かも不明であるし、その土地だけを売ることはできないので、有名無実なのだ。

そして、その土地の査定などは類似事例がなくわからないため、できるはずがないのだ。加えて、マンションは鉄筋コンクリート造なので、耐用年数が47年と長く、1年に2.1%しか下がらない。土地と建物の価格が半分ずつだとしたら物件価格の約1%の下げ圧力にとどまる。

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