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薬代は年間300万、アルツハイマー「新薬」の値打ち 発売から半年、薬が使えるのは患者の「2割弱」

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 9時30分

「レカネマブが投与できる条件は、厳格に定められています。まずMCIか、初期の軽度アルツハイマー病であること。進行した中等度や重度には使えません」(岩田さん)

中等度や重度になると、服を着替えるなどの日常の動作ができない、自宅の近所でも道に迷う、自分で排泄をコントロールできない、といった状態になる。

そのほか、レカネマブの成分に対して重篤な過敏症の既往歴がある場合も使えない。また、脳MRI検査の結果、脳出血の痕跡など異常が見つかった場合も使用不可だ。

それらを鑑みると、レカネマブが適応になるのは、アルツハイマー病患者の1割強くらいだという。「当院ではこれまでに200人くらいの患者さんがレカネマブによる治療を希望されて受診されましたが、実際に治療を行っているのは35人くらいです」と岩田さん。

2週間に1度、点滴で投与する

エーザイによると、すでにレカネマブの投与を受けられる国内の医療機関は600カ所を超えている。投与前に詳しい検査が必要なため、大学病院や国立の医療機関といった大規模な病院が中心となっている。

「検査に関しては、当院では問診のほか、アミロイドPET検査または腰椎穿刺(せんし)によるバイオマーカー検査のどちらか一方を行って、脳にアミロイドβが蓄積しているかどうかを確認します。また脳MRI検査を行い、脳に別の疾患がないかも確かめます」(岩田さん)

アミロイドPET検査とは、脳内に蓄積したアミロイドβを可視化する画像検査をいう。一方、腰椎穿刺によるバイオマーカー検査とは、腰に針を刺して脳脊髄液を採取し、その中に含まれるタウの量を調べる検査だ。

アミロイドPET検査は金額が高いが、画像検査なので比較的、患者への負担が少ない。

一方、腰椎穿刺によるバイオマーカー検査は金額がやや低いものの、腰に採血に使用する程度の太さの針を挿入する。そのため患者への負担が大きく、骨粗鬆症などがあると行えないことがある。

さらに、レカネマブ治療のための検査では、いずれか1つの検査しか健康保険では認められていない。

陰性だったからといって、もう一方の検査を受けてしまうと、検査代は自費になる可能性がある。すると、その後の治療もすべて自費になることがあるので、注意が必要だ。

こうした問診や検査の結果から専門医が適応と判断した場合、レカネマブを使うことができる。

レカネマブは点滴薬なので、定期的に受診する必要がある。

「2週間に1度、1時間20分くらいかけて点滴で投与していきます。初回は投与後にアレルギー反応などが起こらないかどうかを確認するため、さらに1時間程度は院内での待機が必要です」(岩田さん)

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