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「SNS投資詐欺」の被害が爆増している根本原因 "メディア"や"広告主"の責任も問われている

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 7時30分

「詐欺被害をすぐに止めることが重要。そのためには、あらゆる方法でプラットフォーム事業者に有効な対策を求めていく必要がある」(ワーキングチームの事務局長を務める小林史明衆院議員)

ネット広告の質の向上を目指して長年取り組みを進めてきたクオリティメディアコンソーシアムの長澤秀行事務局長は「外資系プラットフォーム事業者の日本法人の権限、機能不足により、詐欺広告や、詐欺的フェイク記事メディアへの広告掲載が常態化している。日本は、内外からの反社会勢力の資金稼ぎのターゲットになっている可能性が高い。底割れをしてしまった感のある広告のエコシステムを健全化するための取り組みは待ったなしだ」と指摘する。

プラットフォーム事業者は詐欺を幇助?

自民党の提言案では、目先の被害を食い止める緊急対策として、各プラットフォーム事業者に広告出稿時の事前審査を行うように求めている。事前チェックの目をすり抜けて掲載してしまった広告についても、削除基準や対応のために必要な日数を明示するとともに、削除を依頼する窓口を整備することを求める。

また、詐欺集団が公式アカウントを作ることができないように、公式アカウントを作成する際に本人確認実施も要請する。プラットフォーム事業者の刑事責任が問われる場合がある旨も、関係省庁がガイドラインなどを通じて明示することを求めている。

詐欺広告への対応の遅れが目立つメタは、4月に「詐欺対策には社会全体でのアプローチが必要」と、責任回避とも取れるような声明を出している。5月15日、前澤氏はメタ本社とフェイスブック・ジャパンに広告掲載停止と損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしており、裁判の行方にも注目が集まる。

中には、詐欺広告対策の取り組みを前進させている事業者もある。TikTokを運営するバイトダンス日本法人では、事前審査を行う体制を整備。クローズドチャットを遷移先とする広告を排除している。グーグルは2023年からLLM(大規模言語モデル)を活用した高度な詐欺広告排除システムを稼働させており、広告の正常化に向けた投資を増やしている。

ただし、プラットフォーム事業者のチェックだけに頼ることはできない。「詐欺広告なのかどうか」を事前に見破ることは容易ではないためだ。

著名人の動画などをAI(人工知能)で加工して本人の許可なく使っているのであれば、判断しやすい。ところが、広告だけで詐欺と特定するのは難しい場合がある。

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