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大河や映画話題「安倍晴明」伝説と現実のギャップ 数々の作品、令和の今でもファンが多い背景

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 9時0分

では、先ほどの一文はどのような意味なのでしょう。左大臣・藤原実頼の意向を承った、大外記・菅野正統に「陰陽師晴明」が呼び出されることになります。

政始(年始や改元などのあとに、天皇が初めて政治を行う儀式)を催行するのはいつがいいのか、晴明は吉日や吉時を書き出した文書(日時勘文)を正統に提出したのです。

後世の物語などにあるような、天皇の病を治しただとか、呪術行為といったような話ではありません。それらと比べたら、とても、地味な活動が記されていたのです。

朝廷の儀式を、凶日に行うわけにはいきません。吉日を選ばなければならないのです。凶日を避け、吉日を選ぶ。それが、平安時代中期における陰陽師の仕事の1つとなっていたのです。

とはいえ、そうした行為を地味なものであると、あくまで現代人の視点から申し上げましたが、平安時代の人々にとっては、重要なことだったのでしょう。

(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・繁田信一『安倍晴明』(吉川弘文館、2006)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・繁田信一『殴り合う貴族たち』(KADOKAWA、2008)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎:歴史学者、作家、評論家

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