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認知症「一歩手前」の特徴と予防のためにできる事 そのもの忘れは「病的な健忘」か「加齢現象」か

東洋経済オンライン / 2024年6月2日 7時40分

生活習慣病との関連ほど強くはないものの、趣味を持つ、多くの人に会って話をする、脳トレで頭を使うといったことも、認知症のリスクを下げることにつながるそうだ。

一方、テレビやウェブなどで宣伝している、イチョウ葉エキス、オメガ3脂肪酸、ビタミンEやセレンなどの「記憶力をよくする」という触れ込みのサプリメント類は、「認知症を防ぐという効果は証明されていないので、摂る必要はありません」と岩田さん。

「病的なもの忘れ」の特徴

そもそも、病的なもの忘れと、そうではないもの忘れはどう違うのか。岩田さんは次のように解説する。

例えば、たまにしか見ないタレントの名前などの固有名詞が出てこないのは、問題となるようなもの忘れではない。一方、バナナなどの一般名詞や、親しい人の名前が出てこない場合は少し問題とのこと。

また、お酒を飲んでいて同じ話を何度もするのはよくあるが、そうではないときに同じ話を繰り返すとなると心配したほうがいいようだ。

ほかにも、予定や約束をど忘れてしまうことは誰にでもある。しかし、予定や約束があったこと自体を忘れていたり、指摘されても思い出せないなら問題だ。

さらに、その年に起きた大きな事件や事故についてうろ覚えなのは普通だが、今年でいえば、能登半島の地震のことをまったく知らないとしたらおかしいということになる。

では、自身や家族がMCIかもしれないと思ったらどうしたらいいか。

もしかしたら?と思ったときの受診先

「まずは脳神経内科、もの忘れ外来、精神科などを受診してください。可能なら、最初は同居人やご家族と一緒に受診を。本人以外の視点が加わることで普段の様子が正確にわかり、診断や治療に役立ちます」(岩田さん)

診療では、問診で認知機能の低下があるかどうかを確認する。受診した本人は記憶力が著しく低下していると思っていても、ご家族の話を聞くとそうでもないという場合もある。

こうした問診のほか、認知機能検査や心理テスト、血液検査、頭部CTなどの画像検査などでMCIと診断されたら、治療へと進むことになる。

「まず、生活習慣病が未治療であればその治療をしますし、病気のコントロールができていない場合は、投薬治療などでしっかりコントロールしてもらいます。さらに生活の改善、運動、認知トレーニングなどを行っていきます。またアルツハイマー病では、新しい薬物療法も選択肢の1つです」(岩田さん)

(関連記事:薬代は年間300万、アルツハイマー「新薬」の値打ち)

(取材・文/大西まお)

東京都健康長寿医療センター副院長
岩田 淳医師

日本認知症学会専門医、日本神経学会認定神経内科専門医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医、日本内科学会認定医、総合内科専門医。東京大学医学部附属病院脳神経内科「(旧)メモリークリニック」にてアルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症、前頭側頭葉型萎縮症等の疾患の診療を行ったのち、現在は東京都健康長寿医療センターへ赴任。専門は認知症性疾患、パーキンソン病、脊髄小脳変性症。

東洋経済オンライン医療取材チーム:記者・ライター

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