「富士山を黒幕で隠す」日本のダメダメ観光対策 「オーバーツーリズム」に嘆く日本に欠けた視点
東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分
クリスマスのような重要な休暇は変更されていないが、日本がこうした施策を導入すれば、例えばゴールデンウィーク中のオーバーツーリズムを緩和することが可能だろう。
海外の観光地では、さまざまな方法で需要をコントロールしている。1つは、ベネチアのように入島する際に料金を徴収する方法。もう1つは、旅行者数に制限を設ける方法だ。3つ目は、人気のスポットにオンライン予約システムを導入し、需要を管理しやすくする方法である。
このほか、各都市それぞれのアプローチで観光客数の制限をしている。例えば、アムステルダムは土産物店を買い戻し、地元の人々のためのアパートに改装した。ニューヨークはAirbnbを制限している。バルセロナは、何十万人もの外国人観光客を乗せていたクルーズにストップをかけた。
モンサンミッシェルの需要管理
フランスでは、日本人に大人気のモンサンミッシェルがいいモデルかもしれない。観光はこの街にとって大きな現金収入源となっている。また、ビジネスも生み出している。地元のビスケットブランド 「Galettes du Mont Saint Michel 」は、年間8000万ユーロの売り上げがある。
ピーク時には、需要に対応するため、地元当局は高速道路に、午前11時前か午後3時以降に来るよう勧める看板を設置している。交通の流れを管理するために、モンサンミッシェルの近くに巨大な駐車場を建設した。観光客は事前に駐車スペースを予約することができる。冬はピークシーズンより30%安くなる。
駐車場からはシャトルバスが運行され、市は観光客の流れを調整することができる。こうした施作の結果、「オーバーツーリズムになるのは、年間10〜15日程度だ」と、モンサンミッシェルの管理事務所の責任者であるトーマス・ヴェルターは言う。
日本の地方自治体は、外国人観光客を非難する前に自分たちにできていないことがないのかを考えるべきである。京都では、メディアは外国人観光客が地元のバスに荷物を詰め込んでいることに焦点を当てるが、京都の公共交通システムがいかに機能不全に陥っているかには触れない。
地方財政のために観光客を切実に必要としている都市としては信じられないことに、京都の地下鉄はほとんどの観光客が行きたい場所まで通っていない。バスに関しては、初めて利用する人には理解しがたい時代遅れの運賃システムがいまだに使われている。
国家レベルで最も重要なことは、日本は観光客の需要を閑散とした田舎に向けなければならないということだ。
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