1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「初デートでサイゼはない」に元社長が喜んだ理由 高校生の会話「サイゼでもいいよ」も褒め言葉に

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 15時30分

サイゼリヤに来たことがある人なら、ミラノ風ドリアが税込み300円ということは、誰でも知っています。だから、「これなら、ミラノ風ドリアが何皿食べられるよね」という会話が成り立つのです。

「ビッグマック指数」をご存じの方もいらっしゃるでしょう。

世界中で売られているビッグマック1個の値段を比較することで、為替レートだけでは見えてこない、その国の経済力を測る指標となることが知られています。

ところが、日本国内に限って言うと、日本マクドナルドは円安や原材料費、人件費の高騰を受けて、何度か値上げをしています。

さらに、都心店を中心に、立地によって価格差をつけるようになっています。そのため、ビッグマック1個の値段を聞かれても、即答できない人が増えました。

サイゼリヤの場合、ミラノ風ドリアは税込み300円、マルゲリータピザやタラコソースシシリー風パスタは税込み400円、若鶏のディアボラ風は税込み500円と決まっていて、その値段をずっと守っています。

そのため、「この値段ならミラノ風ドリアが何皿食べられる」「パスタとチキンを頼んでも1000円でお釣りがくる」ということが、パッと頭に浮かぶのです。

だからこそ、サイゼリヤはほかの店の値段や味を評価するときのベンチマークとして使われるようになってきました。「ミラノ風ドリアが何皿食べられるか」という「ミラノ風ドリア指数」のようなポジションを獲得したわけです。

それだけ知名度が上がってきたサイゼリヤですが、いわゆるマーケティング的なことはほとんどやっていません。広告すら出していないのです。

広告費を売上の5〜8%かけるのがチェーンストアの相場とされているのですが、サイゼリヤにはそれがない。サイゼリヤといえば「安いレストランの代名詞」で、お店で出している価格そのものが広告になっているからです。

広告を出さずに浮いた分のお金は、原価に組み込まれています。つまり、原価率を他社より5〜8%高くしても問題ないということです。広告に回すお金があったら、少しでもいい食材を使って、お客さまに還元する。価格と商品力でお客さまに訴求していくという考え方がベースにあります。

そのため、近くにサイゼリヤのお店があることが何よりも重要です。お店に来てもらわなければ、サイゼリヤのことを知ってもらう機会がないからです。

でも最近は、近所にサイゼリヤが出店すると、私たちが何もしなくても、地元で話題にしてくれる流れができました。ユーチューブの動画などで、サポーターのみなさんがサイゼリヤを取り上げてくれて、サイゼリヤの存在が知れ渡っているから、ということもありそうです。

ユーザー体験はお客さま自身がつくるもの

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください