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「初デートでサイゼはない」に元社長が喜んだ理由 高校生の会話「サイゼでもいいよ」も褒め言葉に

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 15時30分

サイゼリヤの使い方は人それぞれです。お店に来てもらえばわかりますが、サイゼリヤの利用者層は実に多様です。

遅いランチから夕方までのアイドルタイムには、高校生や子連れの主婦らがお茶をしながら会話を楽しんでいます。平日の開店直後はおじいちゃん、おばあちゃんがやってきて、ワインを飲んだりしている。

ディナータイムは、サラリーマンの飲み会もあれば、一人きりで楽しむボッチ飲みのお客さんもたくさんいます。おじさんたちがワインを飲んでいる横で、子どもたちが駆け回ったりしています。

それが違和感なく混在しているのがサイゼリヤなのです。

駐車場を見ても、ベンツのような高級車がずらりと並んでいるかと思えば、小型のファミリーカーがすぐ横に停まっていたりします。お金がない高校生も、お金に余裕がある富裕層も、ついつい通いたくなる魅力が、サイゼリヤにはあるようです。

経済はモノ消費ではなくコト消費が中心になってきたとよく言われます。

モノがあふれる時代、お客さまがお金を出してくれるのは、商品そのものに対してではなく、ほかでは味わえない特別な体験(エクスペリエンス)に対してだけ、というわけですが、サイゼリヤには、お客さまの体験を会社がコントロールできるものではない、という発想が根っこにあります。

言い換えると、ユーザー・エクスペリエンスはお客さま自身がつくるものだ、ということです。お店の利用のしかたも、アレンジメニューも、SNSでのクチコミやレピュテーション(評判)も、すべてお客さまに委ねて、こちらは一切関わらない。

お客さまが好きなように利用するから、そこに愛着もわくし、自分なりの攻略法も出てくるわけで、それを企業側が管理できると思うこと自体が、そもそもおこがましいのです。

クレーマーではなくサポーター

株主総会では「どこどこの店のコーヒーマシンが汚い」とか「故障してる」とか、わざわざ言いにきてくれる人がいます。

そんなとき、私は「わかりました、担当に伝えておきます」と返すのが恒例となっていましたが、この人はクレーマーではなく、サポーターです。文句を言っているように見えて、お店をよくしたいと思ってくれているサポーターなのです。

サッカーでも、不甲斐ないゲームをしたとき、いちばん文句を言うのがサポーターです。彼らが「おまえら、何してるんや」と怒るのは、チームを愛しているがゆえです。

イヤなことがあったら離れていくファンもいるかもしれないけど、そこを叱ってくれるのがサポーターです。そんな愛あるサポーターを、会社が管理することはできません。サポーターの好きにまかせるしかないのです。

でも、その姿勢を貫いた結果、いまがあります。

堀埜 一成:サイゼリヤ元社長

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