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高齢者定義「65歳→70歳」引き上げで起こる"困惑" 年配の人々のあり方が多様化した今、考える事

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 9時0分

年金の受給も65歳を基本とした制度設計になっています。

現役世代と受給者の負担バランスを改善したということではありますが、長期にわたる人口動態と、それに伴う歳出入の変化に、元来の制度が対応しきれなかったことは確かだと思われます。

このように、社会の制度や仕組みは「65歳以降を高齢者」と見なしているわけです。

しかし、そもそもの疑問として、皆さん、ご自身が「高齢者」だと見なされること、自分自身を高齢者と見なすことにそんなに嬉々としているのでしょうか。

私はそうは思わない。むしろ「高齢者? 嫌だね、そんな見られ方は」という人は多いと思うのです。

筆者の周りを見るとピンピンしている60代、70代は普通にたくさんいます。いや、80代やそれ以上の世代だって元気な人は数えきれません。筆者自身、今月には62歳になりますが、「高齢者」になる日が近いという認識はまあゼロに近いです。

ですので、いくら制度上の「高齢者」の恩恵を受けられるからといって、その世代の人が、65歳高齢者を喜んで受け入れている、と思うのは、ある意味とっても傲慢で、「お年頃」の気持ちをわかっていない(若い世代の)思いだと私は思います。

元気と制度のバランスを考えると

そのような元気と制度のバランスにおいて、制度が時代に追い付いていないことは確かだと思います。

元気で活躍できるのであれば、高齢者の定義が変わろうと別にいいじゃない、と思っている人も筆者の周りには多く、そういう人たちは今も仕事や趣味を続けています。

もちろん、病院や介護施設などに入居していたり、ご自宅に終日とどまって生活していたりする65歳や、それより年配の人がたくさんいるのもまた事実で、医療者としては当然気にかかります。

そして、65歳になったからもう働かなくていい、残りの人生を謳歌しようと夢を膨らませている人ばかりではなく、役職定年や60歳を過ぎて給料が(仕事は同じなのに)減ったり、雇用が安定しなくなったりというような悩みを抱えている65歳も少なくありません。

要は、寿命が延びて人生の持ち時間が長くなったぶんだけ、65歳や、それより年配の人々のあり方も多様化しているということなのです。

こう考えてみると、高齢者が(先送りになって)70歳スタート、ということはもっと喜ばれてもよさそうなのですが、実際にはそうではない方々も少なくなさそうではあります。

では、なぜ我々は「高齢者が70歳になる」という話を素直に喜べないのでしょうか。

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