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「それでも日本株は上昇する」と言える2つの根拠 景気はよくないのに株価が高いのはおかしい?

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 9時0分

ここで改めて、株価というものは名目値の概念であることを思い出す必要があるだろう。したがって、GDPデフレーターがプラスの状態にあるとき、企業収益は拡大傾向を強め、株価上昇が促される。そもそもGDPが付加価値、すなわち企業の粗利益の合計に近い概念であることを踏まえると、名目GDPが増加する局面で企業収益が拡大するのは当然だろう。

それゆえに企業収益の通信簿である株価と、名目GDPには長期的な連動性が確認できる。名目GDPが停滞した1990年後半から2010年代前半にかけて株価がレンジ相場を形成したことや、名目GDPが拡大基調にある中で日経平均株価が3万円そして4万円の大台を回復したことは、ある意味で自明と言える。

「今、投資家が株を買うのは正解」と言えるワケ

また、株価を考える上では金利を加味することも重要だ。そこで名目GDP成長率(直近値は前年比プラス3.4%)と長期金利(1%強)の差に注目すると、現在は大幅なプラス領域にある。

名目長期金利が「期待実質成長率(≒潜在成長率)+予想インフレ率」で決まるとするなら、長期金利は名目GDP成長率に近い数値となるはずだが、日銀の緩和的な金融政策によって長期金利が抑制されているため、コロナ期以降は「名目GDP成長率>金利」の構図が特に鮮明になっている。

この状態はマクロ的に見た場合、調達コスト以上の成長機会がいたる所に転がっていることを意味することから、もしその状態が長く続く、あるいはそう確信するなら、企業は借り入れを増やして投資を拡大し、同時に投資家は株式の購入を進めるのが最適解になる。逆に言えば、過剰投資がマクロレベルで発生した平成バブルをこうした文脈で説明することも可能だろう。

現在、日本株のPER(株価収益率)が安定していることに鑑みると、投資家が過度なリスク選好に傾斜しているとは思えない。つまり、現在の環境は投資家のリスクテイクが報われやすいと言えるだろう。これが1つ目の注目点の「名目GDP」である。

もう1つの注目点は「半導体」だ。昨今のAI関連の市場が急拡大していることで、決算シーズンには半導体大手の決算がマクロ指標に比肩するほど相場全体に大きな影響を与えることも珍しくない。今や半導体は「セクター」や「業種」といった用語が馴染まない存在となっている。

台湾の動向が暗示する日本株の明るい先行き

それゆえ、今後の相場を予想するうえでは、半導体各社の決算に対していかに先回りするかが重要になってくる。その点、5月20日に発表された台湾の4月輸出受注は朗報だった。2022年秋から2023年末頃までマイナス圏で推移していた前年比伸び率がプラス10.8%と、3月の1.2%から大幅にプラス幅が拡大したためだ。これは2022年3月以来の高い伸びとなった。

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