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半端ない復旧への熱「火の国」熊本ご当地鉄道事情 新幹線に観光列車、海へ山へ路線は意外に充実

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 6時30分

八代駅から分かれるもう1つの道筋は、観光ローカル線といったらいの一番に名があがる、肥薩線である。

もともとは鹿児島本線の一部として建設されたが、水俣を経由する現在の肥薩おれんじ鉄道線が開業したことでローカル線の立場に転じた路線だ。

つまり“古の大動脈”。球磨川の河谷沿いをくねくねカーブしながら走り、人吉盆地は人吉駅が沿線最大のターミナル。さらに肥薩線は南進してスイッチバックやループ線で山を越え、宮崎県をほんのわずかにかすめて鹿児島県に入っている。肥後と薩摩、その名の通りの肥薩線である。

この肥薩線は2020年の豪雨災害によって熊本県内は全区間が運休中。軌道敷の一部は道路の仮復旧に転用されるなどしていて、このまま廃止になる公算も高かった。

しかし、2024年4月に熊本県とJR九州で、上下分離法式の採用などを盛り込んだ復旧に関する基本合意書を締結。県側は2033年度頃の再開を目指すとしている。

「いさぶろう・しんぺい」「SL人吉」など、いくつもの観光列車が行き交った名ローカル線に、また列車が走る日がやってくる、というわけだ。

肥薩線の人吉駅から分かれていたローカル第三セクターのくま川鉄道も、2020年の豪雨災害で被災した路線。川村―肥後西村間で球磨川を渡る橋が大きな被害を受けたこともあって、いまは終点側の肥後西村―湯前間だけで運転されている。こちらも2025年度中の全線復旧を目指している最中だ。

鉄道路線への愛着

かくして、熊本県の鉄道は九州新幹線を軸として絶景のローカル線や都市内交通と、実に恵まれたネットワークを持っているといっていい。

いっぽうで、熊本地震や豪雨災害など、近年はいくつもの自然災害に見舞われてきた。少なくとも、県内の路線に関しては被災運休のまま廃止といった事態にはならなさそうだ。

肥薩線の復旧にも、熊本県はかなり積極的な姿勢を見せてきた。熊本は、もしかすると鉄道をこよなく愛する県民性なのかもしれない。熊本県民のみなさん、いかがですか?

鼠入 昌史:ライター

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