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"聖地化"で外国人が殺到する「首都高」のリアル 顕在化する高速道路の「オーバーツーリズム」

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 7時20分

もちろん、トイレ休憩や食事のために訪れている日本人のドライブ客もいるが、駐車しているクルマの過半数はスポーツカーなどで、ここに集うためにやってきた人だと思われる。ナンバーも関東一円だけでなく、福島、いわき、静岡など、遠方からのものも見受けられた。

日本車の聖地「DAIKOKU」

大黒PAが人気となった理由はいくつかある。アメリカの映画シリーズ「ワイルド・スピード」(初作は2001年)で日本車が注目され、日本のスポーツカーのショーが行われるほど、日本車に関心が高い層が生まれたこと、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのゲーム「グランツーリスモ」でこの場所が組み込まれたことなどが大きい。

そうした背景から、「DAIKOKU」は海外の人にとって、日本車の聖地となってきたのだ。

外国人は見たところ、そして話している言葉から国籍も年齢層もさまざまで、女性だけのグループはいなかったものの、男女グループやカップルも多く、女性の姿も目立つ。

そして、そうした外国人のほとんどは、1台1台を熱心に眺めてカメラに収めたり、クルマの所有者に話しかけたりしている。

幸い、テレビなどで報道されたような不法侵入や、障がい者用のスペースにクルマを停めるといった迷惑行為は見かけなかったが、どこのSA/PAでも味わえない不思議な空間になっていた。

夕闇が迫るとクルマの台数はさらに増え、外国人の比率も高まってきた。コロナウイルスの鎮静化後に再び増えてきたインバウンドは、SNSの隆盛でコロナ以前に比べ、観光地ではないところに人が集まるようになってきている。このPAも、SNS時代の新たな日本の観光地の仲間入りをしている印象が強かった。

筆者は、カリブ海に浮かぶキューバを訪れた際、アメリカのクラシックカーが何百台、何千台と現役で走っている姿を見て、胸が少し熱くなった記憶がよみがえった。

キューバでは、経済封鎖により古いクルマを修理しながら乗り続けざるを得なかったのだが、長い年月にわたり大切に乗り継がれてきたクルマが放つ独特のオーラのようなものが、大黒で見られるクルマに相通じるものを少し感じたからかもしれない。

なお、キューバでは今、クラシックカーの一部はタクシーに利用され、観光客の人気を集めている。

売店や飲食店も「車の聖地」にあやかる

こうした“聖地化”により、売店やレストランでも、それを意識したラインナップが用意されている。お土産などの売店の一角にはカーグッズのコーナーがあり、日本のスポーツカーなどのプラスチックモデルやステッカーといった、ファンが喜びそうな商品が並べられていた。

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