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"聖地化"で外国人が殺到する「首都高」のリアル 顕在化する高速道路の「オーバーツーリズム」

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 7時20分

売店の人に聞いてみると、こうした商品はやはり“聖地化”に合わせて店頭を飾るようになったという。

また、大黒PAには、蕎麦、ラーメン、洋食、そして軽食を提供するフードコートがあるが、その中の横浜龍麺という店では、横浜名物のサンマーメンのほか「味噌の深みが加速する 背脂とにんにくのツインターボ」というキャッチフレーズが大きく書かれた「大黒みそラーメンTWIN TURBO」というメニューまであり、つい頼んでしまった。

1500円というちょっとお高めのラーメンだったが、刻んだチャーシューとピリ辛のもやし、ニンニクなどがたっぷり入って、たしかに喉元からしゃきっとする、元気が出そうな味であった。

ちなみに、その辛みを中和するため大黒PA限定の「大国様どうなつ」も購入。こちらは、大黒PAの名前の由来でもある「大黒様」が、包み紙に描かれていた。

言うまでもなく、大黒様は七福神のひとりで、大黒ふ頭周辺には恵美須町や弁天町もある。埋立地に地名を付与する際、吉祥の名前が付けられたからだろう。

富士山「映えスポット」近くでも

実は、大黒PAのほかにも、高速道路で歩行者による問題が起きている場所がある。中央道の富士吉田バスストップ(バス事業者は「中央道下吉田」という停留所名を使用)がある。

今年1月と5月に、NHK甲府放送局で、「中央道で高速バス降車後、外国人の道路誤進入相次ぐ」というニュースが放送され、筆者もコメントを求められた。

このバス停は、富士山と五重塔の写真が撮れることで外国人観光客に人気の新倉山浅間(あらくらやませんげん)公園まで歩いて10分ほどのところにあり、東京方面から直行する高速バスが、このバス停に停車する。そのため、昨年あたりから多くの外国人が下車するようになった。

ところが、外国人向けの標識が完備されていなかったこともあり、バスを降りてもどちらに行っていいかわからず、一般道へ下りる階段を探せないまま、高速道路の本線へと歩いて行ってしまう人が増えてしまったのだ。

そもそも高速道路上のバス停は、地元の人の利用を中心としたもので、不慣れな観光客が乗降することをあまり想定していなかった。そのため、わざわざ丁寧な標識を設置しなくても、利用者が困ることはあまりなかったのだ。

現在、NEXCOと地元の自治体などで対策が練られていると聞くが、インバウンドの増加で私たちが思いもしない場所が外国人で賑わうようになったことで、地元の人たちが困るようなケースが各地で頻発している。

高速道路上でもそうした事例が出てきたことで、高速道路の運営・管理会社や警察などの対応が求められる時代になったことを、2つの事例であらためて痛感する。

なお、大黒PAは3方向の高速道路のどの路線からも立ち寄れるため、待ち合わせて相乗りする場所としても利用されている。そのため、施設を利用しないのに長時間駐車するクルマも目立っていて、今も長時間駐車に注意を促す横断幕がPA内に掲げられている。

便利で特徴のあるPAだからこその悩みが深いことをあらためて感じているうちに、2つの橋が美しくライトアップされる時間になったので、帰途についた。

【写真】週末に見た日本車の聖地「大黒PA」

佐滝 剛弘:城西国際大学教授

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