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くら寿司「一律3万円賃上げ」大胆な給与改定の意味 米国子で躍進、IT企業の側面も持つなか待遇改善

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 19時30分

先日、くら寿司は全社員を対象に約10%のベースアップを実施するとした(写真:アフロ)

意外に知られていない事実に、くら寿司の子会社、Kura Sushi USAの快進撃がある。同社はアメリカで2008年に設立され、2009年から寿司レストランを全米で展開している。2019年にはアメリカ・ナスダック市場に上場もしている。

【写真】ハイテク化、エンタメ化が進む「くら寿司」の最近の店舗の様子

アメリカくら寿司の快進撃

その後、世界的にはコロナ禍に突入。しかし、Kura Sushi USAにとっては追い風になった。自宅ですごす時間が増え、さらにテイクアウトやデリバリーが一般的になった。そしてハンバーガーばかりではなく、本格的な日本の寿司も食したい需要が高まった。2024年はさほど株価が好調とまではいえない。ただし、2019年からの中期的スパンで見ると、株価は爆上がりしている。

同社は寿司を提供するだけではなく、アメリカに回転寿司というエンターテインメントショーを展開していると思ったほうがわかりやすい。

日本で培ったハイブリッドレーン(注文した寿司が客先めがけて飛んでくるレーン)。空き皿を貯めると開始するゲーム。配膳のロボット。さらにスマホでの注文まで。レストランがライバルというより、アミューズメントパークがライバルとさえいえる。

日本で開発し、ノウハウを培ったツールをアメリカにもっていく。そしてアメリカではこれまでにない飲食店として享受される、といった好循環を実現している。

そして、エンタメの土台となるハイブリッドレーンの管理、ゲーム、ロボット、スマホ注文への処理、そして回転寿司の廃棄量削減のための需要管理……。これらを見ると、くら寿司とは飲食店チェーンでありながら、同時に高度なIT企業ともいえる側面を有している。

月給3万円アップの日本くら寿司

話は日本のくら寿司に移る。

先日、くら寿司は全社員を対象に約10%のベースアップを実施するとした。基本給を3万円引き上げる。これは当然に初任給にも反映され、23万円が26万円になる。このすがすがしいニュースは多くに歓迎された。社会的に賃上げがブームになっていることと、人手不足感が高まっているので、理解できる経営判断としたものが多かったようだ。

ここで計算してみよう。日本のくら寿司には従業員が約1700人いる。平均年齢は31.5歳で、同社の平均年収は約460万円だ。

1700×3万円×12≒6億1200万円となる。つまり人件費が基本給のアップ分で6億円ほど上昇する。また1人当たりは36万円(=3万円×12)の年収増となる。これを2つの観点から比較する。

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