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「セクシー田中さん」報告書に批判殺到の根本原因 日テレ、小学館の報告書で当事者の証言が相違

東洋経済オンライン / 2024年6月6日 17時15分

(画像:ドラマ「セクシー田中さん」公式サイトより)

セクシー田中さんの問題に関する調査報告書が公表されました。日本テレビ側の報告書は97ページ、小学館側の報告書は90ページとそれぞれ事実認定から改善案の提言まで大きなボリュームをさいています。

【写真】小学館の調査報告書

トラブルの過程で人命が失われた痛ましい案件だけに、真実を知りたいと考えるひとたちの注目を集めた報告書でした。結果としてその内容がSNSで炎上しています。大きな理由はふたつの報告書の内容がいわゆる「藪の中」になっている点でしょうか。それぞれの当事者の証言が随所で異なっている点が散見されるのです。

ドラマ化の過程で何が起こっていたのか

問題の概要をまとめますと、小学館で連載中の漫画『セクシー田中さん』を日テレがドラマ化することとなり、原作者はその条件として原作に忠実に制作してほしいと要望します。特にドラマ終盤の9・10回はまだ原作に描かれていない回なのでオリジナル展開は認められない旨を伝えていました。

ドラマ化の過程で後述するように原作者の意図に反する展開が提案され、その都度原作者は修正を依頼するのですが、そのやり取りに原作者は徐々に消耗していきます。最終的に原作者は脚本家の降板を要請し、9・10回の脚本を自ら執筆することでドラマは完成します。

その後、降板することになった脚本家がインスタグラムに心情を公表します。それに対して反論する形で原作者がXとブログに事実経過を記載する投稿をします。結果、原作者の苦労に同情が集まり、脚本家への非難が集中しました。

そこで最悪の事態が起きます。原作者は関係者に「予期していなかった個人攻撃となったことを詫びるコメントを出して、投稿を取り下げる」と連絡した後、「謝罪コメントを出して、Xの投稿を削除、ブログを閉鎖し、以後連絡が取れなくなった」のです。翌日原作者の訃報が届きます。

今回のふたつの報告書はどちらも第三者委員会の報告ではなく、両社の役員と依頼を受けた弁護士のチームが作成しています。双方のポジションで、何が起きたのかの証言が集められ、まとめられています。

『藪の中』は芥川龍之介の小説で、藪の中で起きた事件についての当事者それぞれの証言が食い違い、相矛盾する物語です。今回の報告書でも当事者の認識が食い違う箇所が多数見受けられます。

異なる証言を併記する際に弁護士は「なお」という言葉を多用します。この「なお」の出現回数は日テレの報告書で32カ所、小学館の報告書で29カ所ありますから、そのことだけからも双方の言い分が大きく違うことが理解できるかと思います。

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