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父親に引き取られる前に…光源氏が固めた決意 「源氏物語」を角田光代の現代訳で読む・若紫⑨

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 17時0分

光君は左大臣家にいたけれど、例によって女君(葵(あおい)の上(うえ))はすぐにはあらわれない。光君はおもしろくない気持ちで和琴(わごん)を軽く搔き鳴らし、「常陸(ひたち)には 田をこそ作れ」と風俗歌を優雅な声で口ずさんでいる。戻ってきた惟光を呼び、邸の様子を訊いた。これこれと次第を聞き、まずいことになったと光君は思う。兵部卿宮に引き取られてしまえば、そこからわざわざこちらに迎えるのも好色めいたことになってしまうし、年端もゆかぬ少女を拐(かどわ)かしたと非難されるだろう、ならば宮の邸に移る前に、しばらく人にも口止めをして二条院に引き取ろうと決意する。

「明け方にあちらに行こう。車の支度はそのままにしておいて、随身(ずいじん)をひとり二人待機させておいてくれ」と言うと、惟光は了解した。

次の話を読む:荒れ邸から二条院へ、突如始まった少女の新生活

*小見出しなどはWeb掲載のために加えたものです

角田 光代:小説家

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