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「カルチャー帝国」築く高級ブランドのしたたかさ ルイ・ヴィトンの「衝撃人事」が示す異変とは?

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 8時0分

セリーヌはK-popアイドル、BLACKPINKのリサをブランドアンバサダーにしている(写真:Han Myung-Gu/Getty Images)

時代の波に敏感なラグジュアリー業界では、2022年頃から「クワイエット・ラグジュアリー」(静かな贅沢)と呼ばれる潮流が到来した。ブランドロゴを過剰に誇示することをやめ、上質で控えめなデザインに注目が集まる中、「服そのもの」の存在感が以前よりも小さくなった。

【写真を見る】クワイエット・ラグジュアリーブームに火をつけた女優の「法廷ファッション」

そこで、各ファッションブランドは映画や音楽などの文化、エンターテインメントとの結びつきを強め、ブランドの文化的影響力を拡大させようとしている。ファッション業界で起きている「異変」を見ていこう。

ロゴ崇拝に疑問を呈したクワイエット・ラグジュアリー

ファッションブランドは、約2カ月から半年に1度コレクション(商品ラインナップ)をがらりと変えて「新しさ」を提案することで、需要を喚起してきた。

しかしこうした慣習が疑問視されるようになった。例えば先進国から、使われなくなった古着や売れない新品の衣料品が、大量にアフリカに輸出されていることをご存じだろうか。

処理しきれない衣料品がごみ山となり、環境破壊につながっているという批判を受けている。

また戦争や自然災害で苦しむ人が増えている今、話題先行で熱狂をあおるコラボ製品やブランドロゴを誇示する「ロゴマニア」と呼ばれるスタイルはもはや「鈍感」と見なされ、息をひそめた。

そんなムードにサステナビリティーという価値観が加わり、上質で控えめな服に脚光が当たるようになった。クワイエット・ラグジュアリーが注目されるようになったのだ。

品質も価格も高い「知る人ぞ知る」ブランド

コロナ禍前の「ロゴ崇拝」の喧騒をいったんリセットしたこの潮流は、2022年頃から活発に話題に上り、2023年秋冬コレクションを席巻した。

例えば、高いテーラリング(仕立て)技術を上質な素材に落としこんだウェアを展開するザ・ロウや、職人技術を尊重し、気負わぬ贅沢感を漂わせるブルネロ・クチネリといった、品質も価格も高い「知る人ぞ知る」ブランドが注目を浴びた。

とはいえ、ブランドロゴをひけらかさないクワイエット・ラグジュアリーは本来、一過性のトレンドというわけではない。

保守富裕層が大衆からの反感を避けて目立たないようにする、ステルスウェルス(隠れた豊かさ)と呼ばれて連綿と継承されているスタイルでもある。このテイストは、今後も続いていくだろう。

ファッションブランドは、「カルチャー帝国」の構築へ

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