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オペラって何?400年の歴史を5分で解説!後編 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 18時1分

イタリア・オペラはイタリアにしっかり根づいていたが、1820年代以降はパリがヨーロッパのオペラの中心地となり、ヨーロッパ中から作曲家が集まった。彼らの影響力は絶大で、ロッシーニやドニゼッティ、ヴェルディもパリで作曲している。ドイツ出身のジャコモ・マイアベーアは「グランド・オペラ」として知られるスペクタクルを創作した。歴史的な題材の台本、豪華な舞台美術、長いバレエの間奏曲を含む5幕から成るオペラである。同じくドイツ出身のジャック・オッフェンバックはオペレッタ(オペラ・ブフ)を考案し、パリで、さらにヨーロッパ中で大人気となった。

このようにフランス・オペラは独自の路線を切り開かなければならなかった。エクトル・ベルリオーズは「グランド・オペラ」に背を向け、少数の抒情的な作品を創作した。シャルル・グノーとジュール・マスネはローマで学び、旋律が美しいイタリア風オペラで名を成した。ジョルジュ・ビゼーは寡作だったが、エキゾティックな設定、激しいラブ・ストーリー、覚えやすい旋律の作品《カルメン》で世界に名を轟かせた。だが、この時代のフランス・オペラの歴史で最も革新的な作品と言えるのは、もう一人の異端者クロード・ドビュッシーによる《ペレアスとメリザンド》だろう。

ドイツ・ロマン主義

不思議なことに、19世紀ドイツの偉大な器楽曲の作曲家のうちオペラに惹きつけられたのはベートーヴェンだけで、作品は《フィデリオ》のみである。それに対し、リヒャルト・ヴァーグナーはオペラにだけ関心を持ち、19世紀半ばまでには通作形式の音楽、表現主義的なオーケストレーション、型破りな和声、壮大な旋律の「アーチ」によってオペラという芸術形式を変えつつあった。

ドイツ・ロマン主義に台本へのインスピレーションを求めたヴァーグナーは、宗教的と言えるほどの熱意で民族的な物語の素材にのめり込んだ。初期のオペラ《タンホイザー》と《ローエングリン》で確立したロマン派的なスタイルは《トリスタンとイゾルデ》で頂点に達した。だが、ヴァーグナーが崇拝されるのは、何よりも《ニーベルングの指環》として知られる記念碑的4部作の楽劇による。

ヴァーグナーの影響力は絶大で、2世代にもおよぶ作曲家たちがその影から抜け出すのに苦闘した。それに成功した最初の作曲家の一人がリヒャルト・シュトラウスだ。初期の作品で彼はヴァーグナーのラディカルさを新たな高みまで推し進めた。そして、ヴァーグナーのロマンティシズムを土台にモーツァルトまで取り込んで、今も人気がある《ばらの騎士》《ナクソス島のアリアドネ》《アラベラ》《カプリッチョ》を創作した。

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