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ライドシェア、採用側も驚いた応募者殺到の理由 平均年齢は50代、学生がバイト感覚でも

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 9時30分

(写真:日本交通提供)

日本型ライドシェアの稼働から、約2カ月となる5月下旬。岸田文雄首相は、自ら5月中と期限を設けていたライドシェア新法の検討、また日本型ライドシェアの検証作業のいずれも、期限を設けないという方針を示した。この決断により、新法も検証も事実上「先送り」という形で決着した。

【写 真】ライドシェアのドライバーになるための初任適性診断の様子

これにより、今後しばらく(少なくとも年内まで)は、現在稼働中の日本型ライドシェアでもって、「タクシー不足」という喫緊の課題解決を目指していくことを意味する。

一方、タクシー会社の視点に立つと、日本型ライドシェアは、国交省から割り振られた台数を各社で補完するという側面が強い。その台数をいかに“埋める”か、ということが最大の争点となりつつある。

現在、最も多くの台数を割り振られているのが東京の日本交通だ。同社は、今年1月時点でNRS(日本型ライドシェア・以下NRS)のプロジェクトチームを立ち上げた。3月からはNRS事業部として実働しており、現在は20名弱のメンバーが在籍している。同事業部に、ライドシェアの実情について聞いた。

ドライバー希望者の多さに驚き

NRS事業部で副部長を務める野底篤さん(46)に、日本型ライドシェアの動静について尋ねると、率直な感想が返ってきた。

「タクシーで人を採るのがこれだけ大変なのに、実は旅客運送に興味を持っている人がこれだけいるのか、ということが我々の気づきでした。潜在的にやってみたかった、という方がこれだけいらっしゃったのか、と」

日本交通には、これまでに1万件近いエントリーがあった。しかしそれでも、国交省から振り分けられた台数は、まだ半数程度で推移しているという。車両条件の規定や、本業や勤務時間の希望の兼ね合いで、実採用に至っているのは応募者のうちの2割にも満たないからだ。

それでも、従来のタクシーとは異なる働き方を希望するドライバーの多さに、業界歴20年超の野底さんも驚きを隠せなかった。タクシーやバス、トラックなどの運送業全般で人手不足が喧伝されている現状を考慮すると、ミスマッチの深刻さが浮かび上がる。

都内での状況に関しては、時間帯や23区の中でもバラつきがある。特に稼働が活発なのが、朝方の目黒区と世田谷区だ。ドライバー数に比べて利用者が多く、著しくマッチング率が低い。この2区と近接する渋谷区、新宿区はNRS事業部が重点的に営業を強化している地域でもある。

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