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JR東海は否定せず、新幹線「静岡空港駅」の可能性 鈴木新知事、リニア「県にメリットを」発言受け

東洋経済オンライン / 2024年6月10日 6時30分

運行エリアは横浜から熱海・三島・沼津・浜松・静岡を経由して横浜に戻るというもの。旅行代金は1人75万円から。JR東海と東急は、「静岡県の地域活性化への貢献を目指す」と意気込む。

発表会の席上、丹羽社長は実現の経緯について問われると、「きっかけは昨年3月の東急新横浜線の開業」と説明した。東海道新幹線の停車駅である新横浜駅に東急の列車が乗り入れるようになったことで、JR東海と東急の間で「いっしょに何かやりましょう」という機運が生まれた。

担当者同士が協議を重ねる中で、まず、東急新横浜線の1周年記念として、東急の通勤車両のうち2編成に白地に青いラインという「新幹線ラッピング」を施し、この春から運行が始まった。これらの列車は外観だけではなく、今後、車内においても新横浜駅到着時と発車時にかつて東海道・山陽新幹線の車内チャイムで使用されていた「ひかりチャイム」を復刻使用する。また、JR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの貸し切り広告が車内で展開されている。

そして、通勤車両だけでなく、「熱海以西の静岡県内の幅広いエリアにロイヤルエクスプレスを走らせてみたい」という提案が東急から出た。ロイヤルエクスプレスは伊豆半島をめぐる豪華観光列車として2017年に登場したが、2020年には北海道での運行も始まった。今年の1〜3月には四国でも運行している。

一方のJR東海はJR東日本、西日本、九州のような自前の豪華観光列車は保有せず、観光列車戦略には消極的とみられていた。それだけに、東急の車両とはいえ、自社のエリアで観光列車を走らせるというのは、大きな戦略転換ともいえる。

そして、ロイヤルエクスプレスの静岡県内運行はJR東海にとってさらに大きな意味を持つ。川勝前知事は「工事を認めるためには静岡県へのメリットが必要だ」と再三、主張していたからだ。この列車の運行は「静岡県へのメリット」なのか。丹羽社長にこの点を尋ねると、「経緯については先ほど話したとおり」と、工事との関連性を明確に否定した。しかし、一方で、丹羽社長は「静岡県の魅力を多くのみなさまに知っていただく機会になる」と話しており、静岡県にメリットがあるプロジェクトなのは間違いない。

新幹線空港駅「受け止めて対話する」

もっとも、川勝前知事が期待していたメリットとは、もっとスケールの大きな話だ。神奈川、長野、岐阜。リニアが走るほかの県にはJR東海が中間駅を設置する。これらの県ではリニア開業を契機とした街づくり計画が動き出しており、大きな経済効果が期待される。それに比べると、リニアのルートが県北部の南アルプス地中深くをかすめるだけの静岡では駅設置が考慮されることはなかった。

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