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サイゼリヤのホワイトソース「さらさら」の秘密 豪の工場立ち上げに携わった元社長が明かす

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 17時0分

さらにその2カ月後、福島工場が立ち上がりました。こちらは冷凍米飯、つまりドリアやピラフをつくるのが目的でした。

当時のミラノ風ドリアはケチャップライスだったので、ご飯を炊いてケチャップを混ぜて、そこにホワイトソースをかけ、さらにミートソースをのせて焼き上げます。

ケチャップライスをつくるところまでを工場でやろうとしたところ、まずケチャップがそこら中に飛び散る。さらに、混ぜているうちに全部団子状になってしまう。いろいろな問題があるということで、ケチャップライスは断念しました。

そこで正垣泰彦社長(当時)に相談し、つくりやすさやコストなどを考慮してターメリックライスを使うことになりました(イタリアでは、黄色いライスのほとんどはサフランライスですが、独特のにおいやコスト面などから採用は見送りました)。

工場立ち上げの時点ではピラフづくりにも取り組みましたが、ここでも問題が山積みでした。

コーンやニンジン入りのピラフをコンベア式冷凍機でばらばらの状態で凍結させます。塊があると店で加熱するときに冷たい部分が残ることを回避するためです。その際に使用する強力な風でコーンやカットニンジンがコンベアの外に吹き飛ばされるのです。

入れたコーンの何割かがゴミになってしまって、歩留まりがひどい状態でした。掃除がまたたいへんで、1日4時間稼働すると、その洗浄に12時間かかる。どう考えてもコストパフォーマンスが悪いわけです。

その冷凍機メーカーの技術屋にこれは問題ではないかと尋ねると、「掃除しやすい構造にしてあります」と自信たっぷりに言うので、その冷凍機内に入ってみました。

たしかに人が十分入れるスペースがあり、さらに機械が分割され取り出しやすいような構造になっていました。

一見正しい措置に見えるかもしれませんが、そんなことをしたら余計にコーンが落ちるだけです。むしろ、スペースをなくして最初から落ちないようにする必要があるわけです。

そんなこんなでえらく苦労しましたが、約3カ月のあいだにいろいろな改善を重ね、何とか安定した製品をつくることができるようになりました。ただし、掃除は1日10時間ほど必要でしたが。

しかしながら、それによって1店舗で1日100食も出るドリアの作業負担を大幅に軽減できました。

それまでは、白飯にケチャップなどを混ぜていたのですが、白飯には炊いてから時間の経ったものや炊きたてのものなどさまざまな状態のライスが混在していました。それでは、品質を一定にするのは困難です。その問題も解消することができました。

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