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サイゼリヤのホワイトソース「さらさら」の秘密 豪の工場立ち上げに携わった元社長が明かす

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 17時0分

にもかかわらず、あえてオーストラリア進出を決めたのは、仕入れコストの圧倒的な安さが魅力だったからです。

そして、いまもサイゼリヤのミラノ風ドリアが安さとクオリティの両面で他社を圧倒しているのは、オーストラリア工場でホワイトソースの生産が成功したからです。

何度コンビニに攻勢をかけられてもびくともしないのは、同じ品質のものを同じ価格帯で売るのは、事実上不可能だからです。

ならば、他社もオーストラリアに工場を出せばいいと思うかもしれませんが、先に書いた労務費などの問題があり、そう簡単ではありません。日本の大手企業もいくつも撤退しています。それほど海外からの進出難易度が高い国なのです。

だからこそ、オーストラリア工場は他社が簡単には真似できない、サイゼリヤの強みとなっています。

サイゼのホワイトソースが胸焼けしない理由

ここでサイゼリヤのホワイトソースの秘密を、ちょっとだけお話ししましょう。

バターと小麦粉を混ぜたルーにミルクを加えてつくる通常のペシャメルソースは、かなり粘度が高くて、べっとりしています。ところが、サイゼリヤのホワイトソースは、さらさらです。

これはかなりレベルの高い技術で、しかも、使用するバターの量が全然違う。バターを増やすとしつこくなると思われがちですが、そうではなく、キレがよくなります。バターは動物性の脂肪なので、融点が高い。それでキレ味がよくなるのです。

日本では、値段の高いバターの代わりにマーガリンをよく使います。マーガリンは植物性油脂だから、融点が低い。常温でも溶け出してしまうので、ベタッと舌に残るのです。固まらないからです。

さらに、小麦粉がたくさん入っている。その結果、ボテッとした重たいソースになるのです。

ホワイトソースのキレの違いは、食べたあとに実感できます。べっとりとしたペシャメルソースをたくさん食べると、すぐに満腹になります。満腹というのは、言い換えると、胸焼けしている状態です。

一方、サイゼリヤのホワイトソースは胸焼けしません。使っているバターが良質で、酸化しにくいからです。胸焼けしないから、いくらでも食べられるというわけです。

満腹にさせずに、満足させること。腹いっぱいにならないから、「おいしかった」という満足感だけを持ち帰ってもらえる。サイゼリヤはそれを狙っています。

また、厨房特有の脂のにおいがほとんどないことも、食後の印象の「軽さ」につながっているはずです。

脂のにおいがしないのは、揚げ物を揚げるフライヤーと、調理用のグリドルがないからです。

これらの機器で使用される油は高温となり、滞留するので、酸化したものになりやすいのです。

堀埜 一成:サイゼリヤ元社長

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