レクサスのミニバン「LM500h」本命6人乗りの中身 単なるアル/ヴェルの豪華版ではない仕上げ方
東洋経済オンライン / 2024年6月11日 7時40分
さらに、スライド用モーターとスライド機構のクラッチは切り離されているため、手動でも前後させることができる。凝りに凝っている。
2列目のシート自体には、特性の異なる2種類の衝撃吸収材と柔らかな表皮(Lアニリンなるレザー)を使用。路面入力によるシートの揺れを抑えるため、クッションフレームとレッグフレームの間に防振ゴムを設定し、振動を大幅に低減したという。意外な驚きは3列目シートだ。
タイヤハウスがあるため室内幅が限られているうえ、シートを格納する跳ね上げ機構が組み込まれているため、さすがに2つの席のあいだに余計な空間はないものの、シート自体は幅がありクッション性もしっかり。期待以上の快適性を持っていた。
生産は田原工場の少量生産ラインで
プラットフォームは、アルファード/ヴェルファイアと共用だが、このあたりの快適さは独自のものがある。LM500h バージョンLの発売を待つ間に、アルファード/ヴェルファイアに流れてしまった人もいるようだが、「プラットフォームを共有しているからといって同じクルマではない」と、前出の落畑主幹は言う。
「開発コンセプトは『素に戻れる移動空間』。つまり、ゆったりとした気分でいられるな移動のために静粛性と乗り心地を磨きあげたのが、6人乗りのバージョンLです。ボディの骨格はアルファード/ヴェルファイアと共通部分が多いですが、愛知県の田原工場の少量生産ラインで溶接や接着などを丁寧に仕上げています」
乗員の身体の動きを徹底的に調査することが肝要だとして、モーションキャプチャーをもとにしたデータ解析と熟練テスターの感覚を頼りにした官能評価を繰り返したという。
特に頭部の揺れが疲労に大きく影響するため、座面の体圧分散や体幹の保持を追求。身体を腰で支えるシート構造を採用し、骨盤を少し立て気味にすることで、快適性の高いシートにしたと説明される。
4人乗りのエグゼクティブは、前後席を仕切るパーティションが、ボディ剛性に寄与する構造材の役目を果たしていた。それを取り払って同等の剛性を確保するのは、骨の折れる作業だったようだ。
それでも、バージョンLの特徴は“走り”なのだという。一度乗ったら、「もうセダンには戻れない」と思ってもらえるようにと、開発陣は気合いを入れて仕上げた。
「クルマの動きをドライバーの感覚に合うように調整しました。たとえば、車体のロール(左右の傾き)は不自然さがないようなスピードで、しかも走行中に車体のまわりを流れる空気まで使って抑えています」
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